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体力測定会に参加している高齢者は、閉じこもりのリスクが低い?いやいや、そんなことはありません。

体力測定会に参加している高齢者は、閉じこもりのリスクが低い?いやいや、そんなことはありません。

閉じこもりのリスクについて

閉じこもりとは、なんらかの理由によって、ほとんど外出することなく、自宅内を主な活動範囲としてしまう状態を示す言葉です。外出頻度が週1回未満になると、公的にも閉じこもりと判定されます。そして高齢者が閉じこもりになると、介護リスクが上がり、そのままにしておけば、寝たきりの状態にもなりやすいことがわかっています。

介護予防とは、つまるところ、この閉じこもり防止でもあると言えます。ですから、介護職はもちろん、地域の社会福祉に関わる人々は、誰もが、閉じこもりを注意しています。閉じこもりになっている高齢者を見つけた場合、自治体のほうから働きかけていくといった努力もなされています。

高齢者の閉じこもりの背景としては(1)身体的要因;身体が不自由なため外出できない(2)心理的要因;うつ病などにより外出するのが嫌になる(3)社会的要因;外出する理由となるような社会的役割がない、という3つが指摘されています。

高齢者の親を持つ子供の立場からしても、閉じこもりのリスクは十分に感じていると思います。とにかく親には、家にばかりいないで、元気に外出していて欲しいと願うのは、どこの家族でも共通するところだと思われます。

地域の体力測定会

日本各地では、主に、自治体が中心となって、高齢者のための体力測定会が実施されています。自発的に参加するものがほとんどなので、そもそも、閉じこもりの人は、こうした体力測定会には参加しないという印象があるでしょう。

実際に「うちの親は、地域の体力測定会に参加しているので、閉じこもりではない」という発言を聞いたことがあります。しかし、これは本当に事実なのでしょうか。体力測定会への参加をもってして、閉じこもりのリスクがないと言い切れるのでしょうか。

実は、この点について詳しく調べた研究があります(山縣, 2017年)。その結果としてわかったのは、地域の体力測定会に参加しているからといって、閉じこもりリスクがないとは言い切れないということだったのです。

この研究は、京都府亀岡市における2012年の体力測定会に参加し、その18ヶ月後の体力測定会にも参加を希望した高齢者(638名)に対するものでした。そもそも、1度のみならず、複数回継続しての参加を希望するような高齢者です。この時点で、閉じこもりのリスクは低いように感じられます。

しかし、閉じこもりのリスク判定をするためのアンケートを送付し、539名から回答を得た(有効回答率84.5%)結果、予想とは異なる結果が出ました。この結果によれば、すでに閉じこもりと言える状態だったのが20名(3.7%)、閉じこもりの危険性が高い予備群が90名(16.7%)だったのです。

孤独感の有無にこそ注目したい

この研究の結果として見えてきたのは、体力測定会に参加するような高齢者であっても、孤独感があると、閉じこもりリスクが高いということでした。孤独感というのは、主観的なものなので、一人でいても孤独感を持たない人もいれば、集団の中にいても孤独感に苦しむ人もいます。

この視点から考え直すと、自治体からの体力測定会の通知に「参加しておこうかな」と考える高齢者だからといって、孤独感を持っていないとは限らないことに気がつきます。体力測定会への参加が、久しぶりの外出だったりして、その現場では、誰も知り合いがいないという状況は、返って孤独感を強めてしまう可能性さえあるでしょう。

私たちは、今一度、高齢者の閉じこもりリスクを認識しながら、その根幹にある孤独感に注目していきたいところです。こうした孤独感は、これといった趣味のない男性のほうが感じやすいという指摘もあります。個人の価値観によっても異なるところですので、高齢者の周囲にいる人は特に、この点に注意していくべきでしょう。

※参考文献
・山縣 恵美, et al., 『地域在住自立高齢者を対象にした体力測定会への参加希望者における閉じこもりリスクと孤独感との関連』, 同志社看護2, 7-18, 2017-03-31

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