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「家庭内管理職」が増加中?家族はあなたの部下じゃない!

「家庭内管理職」が増加中?家族はあなたの部下じゃない!

「家庭内管理職」とは?

「家庭内管理職」とは、定年退職後に、家族を部下のようにあつかってしまう男性のことを示す言葉です。読売新聞の『人生案内』というコーナーに寄せられた妻からの相談がきっかけで、広く話題になりはじめているようです。

想定されているペルソナ(典型的な人物像)としては、有名企業で長く部長などの重要ポストを担ってきた団塊の世代(1947~1949年生まれ)にある男性です。高度成長期に重要ポストにあったため、家庭を犠牲にして、会社に人生を捧げてきたようなタイプでもあります。

そうした男性が定年退職をすると、人間関係(社会的なネットワーク)を根こそぎ失います。残される人間関係は、多くの場合は、妻だけになります。しかし妻のほうはというと、家に寄り付かない夫を頼ることなく、趣味やボランティア活動などの世界で豊かな人間関係を構築してきています。

夫婦の間には、人間関係における量の非対称性(人間関係が貧弱な夫と豊かな妻)が生まれてしまっているのです。豊かな人間関係に囲まれ、忙しくしている妻に対して、夫のほうは、もはや、妻以外に誰も自分の相手をしてくれる人がいません。

妻にしてみれば、たまったものではありません。いちいち夫がついてきて、何かをするときも、まるで上司のように振舞われるからです。夫にそのつもりはないかもしれませんが、妻からしてみれば、こうした夫は、まさに「家庭内管理職」と揶揄されるような存在です。

どうして「家庭内管理職」が生まれてしまうのか

こうした男性の現役時代は、組織での上下関係しか築けていないことがほとんどです。組織の世界では、横(対等)の人間関係と言えるものは、せいぜいが同期会くらいのものでしょう。それも年1回程度、飲みにいくような人間関係にすぎません。

高度成長期の中核にあった男性は、上司から指示命令を受け、部下に指示命令を出すという人間関係以外を知らないのです。来客にお茶を出すといったことや、出張の手配なども、新人だった時代以来、自分でやっていません。部下や秘書がいるのが当たり前の生活が長く、自分で自分の面倒を見ることができません。

ある意味で、こうした男性もまた、高度成長期の被害者なのかもしれません。人口ボリュームの多い(同世代内競争の激しい)団塊の世代にあって、重要ポストにつくには、家庭を犠牲にするしかなかったのです。しかしだからといって「家庭内管理職」が許されるはずもありません。

人生を捧げたのですから、夫のほうは「立派な企業で重要ポストにあった」という過去にすがりたくなります。逆に言えば、人間関係がリセットされてしまったという事実を直視できず、それに恐怖しているわけです。実際に、有名企業における優秀な人材の人間関係を失ってしまえば、個人としては赤子同然になってしまいます。

残酷なことですが、定年退職後の男性は、この事実を直視するところからはじめないとならないはずです。再就職をして、仕事の中での人間関係を取り戻すことも大事かもしれません。同時に、仕事以外の世界でも、上下関係ではない、対等な人間関係を構築していけないと、残りの人生が消化試合になってしまいます。

「家庭内管理職」では熟年離婚へまっしぐら・・・

男性が「家庭内管理職」と揶揄されるような状態から卒業できないとするなら、待っているのは熟年離婚です。過去において妻が「家庭内管理職」に耐えてきた背景としては(1)この人がいないと金銭的に厳しいという経済的理由(2)夫を支えるべきという文化的理由(3)一人はやっぱり寂しいという心理的理由、の3つです。

しかし(1)経済的理由は、退職金なども含めて財産分与できるので(持ち家の処分以外は)あまり心配はありません。そうした情報も、週刊誌やネットで簡単に得られるようになってきています。さらに、弁護士なども営業をしているので、ハードルはかなり下がってきています。

次に(2)文化的理由は、実はかなり大きいと考えられています。親類縁者の周囲の目もあり、これが、実質的な熟年離婚のハードルになっています。ただ同時に、熟年離婚自体が増えてきていることから、文化的理由によるハードルも下がってきているのが実情です。

そして(3)の心理的理由は、特に活動的な専業主婦だった妻にとっては、小さなものです。「家庭内管理職」になってしまった男性は、自分の子供からも嫌われます。そうなると、子供のほうから、母親(妻)に対して離婚をすすめられることもあるのです。

「家庭内管理職」になった男性を熟年離婚から遠ざけるには、最後の心理的理由への投資だけが頼りです。すなわち、そもそも、一緒に幸せになるという結婚当初の約束に立ち返り、対等な関係としての自分と妻を見直し、ゼロからになっても、あらたな人間関係を築いていくことが重要なのです。

※参考文献
・東洋経済オンライン, 『家族を振り回す「家庭内管理職」の迷惑な実態』, 2017年3月3日
・週刊女性, 『定年退職した「家庭内管理職夫」たちは、なぜ妻をイラつかせる行動をするのか』, 2017年6月18日

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