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下りのエスカレーターが増えている?その理由について

下りのエスカレーターが増えている?その理由について

下りのほうが危険だということ、ご存知でしたか?

登山などを趣味とする人の間では常識なのですが、下りというのは、上りよりもむしろ危険なケースがあるのです。上りとは異なり、下りでは、自分の体重が加速につながりやすいからです。上りのほうが体力的につらいように感じるのは、これの逆で、自分の体重が減速につながるからです。そして、危険なのは、減速ではなく加速です。

いったん加速してしまった状態から、それを減速させるためには、膝(ひざ)の安定に寄与する太ももの筋肉(大腿四頭筋)を働かせる必要があります。高齢者になってくると、こうした筋肉が弱くなっているため、減速が困難になります。すると、ちょっとした階段でも、下りで転倒してしまったりもするのです。

高齢者の場合は、たかが転倒ではありません。要介護になる原因のうち、転倒は、トップ5に入るもの(全体の約10〜12%)です。転倒から骨折し、車椅子生活や寝たきりになってしまう高齢者というのは、意外と多数いるのです。

下りのエスカレーターが増えています

こうした背景を受けて、日本全国で、下りのエスカレーターが増えているそうです。「下りくらい、自分の足で歩こうよ」という感想を持っている人もいるかもしれません。しかし、高齢化する日本では、下りのエスカレーターが増えるのには、介護予防という側面があるのです。以下、朝日新聞の記事(2017年6月4日)より、一部引用します。

「階段は上りより、下りの方が怖い」。そんなお年寄りの声に応え、福岡市営地下鉄で下りエスカレーターが増えている。超高齢化社会をみすえ、他都市の駅でも対応が始まっている。(中略)

モニター123人への調査では「利便性が向上したか」という問いに56%が「そう思う」と答え、「思わない」は6%。エスカレーターの一部を下りに切り替えることについては、76%が「よいと思う」と回答した。(中略)

整形外科医でもある中島勧・東大病院医療安全対策センター長によると、70歳以上の約半数が変形性膝(しつ)関節症を患っており、発症すると階段を下る時にひざが痛む人が多いという。「転んでも、上りは手を付けるが、下りは大けがにつながる。下りエスカレーターが増えれば、お年寄りも気軽に外出できるのではないか」と話している。

階段の手すりは(可能なら)両サイドに!

日本は、居住できる平地が少ないことから、空間を少しでも広く取るために、どこの階段も急勾配になっているものです。日本全体の平均年齢が若い時代には、これでもよかったかもしれません。しかし、高齢化が進む日本では、階段、とくに下りの危険性は、もっと広く理解されてよいものです。

とはいえ、自宅内の階段を、エレベーターやエスカレーターに変更するだけの財力を持った人は、そうたくさんはいないでしょう。とはいえ、手すりであれば、自治体によっては介護予防としても補助金が出るところもあります(自治体の財政に依存するのは不公平ではありますが・・・)。

ノウハウとして知っておきたいのは、可能な限り、階段の手すりは両サイドにつけるということです。片側だけだと、下りで加速してしまったときに、手すりをつかみ損ねる可能性が上がってしまうからです。

※参考文献
・朝日新聞, 『駅に下りエスカレーター続々 高齢者「下り階段は怖い」』, 2017年6月4日

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