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介護状態を改善すると、介護事業者にボーナスが出る仕組みが(やっと)実装される

介護状態を改善すると、介護事業者にボーナスが出る仕組みが(やっと)実装される

介護状態の改善に対してボーナスが出るという仕組み

介護事業者は、かなり、ギリギリの状態で経営されています。介護業界は、毎年、倒産件数が前年を上回るといったニュースが流れるのが当たり前の業界です。世間の景気は上向いているというのに、です。

介護の報酬は、要介護者(利用者)の要介護度が下がると、減ってしまうようにできています。このため、本来であれば、要介護者の状態が改善することは喜ばしいことなのに、そこに注力すると、介護事業者は倒産してしまうという現実があるのです。

この現実を改善するには、要介護者の状態を改善させると、介護事業者にボーナスが出るような仕組みを導入すれば良いということは、以前から指摘されてきました。それがやっと実現しそうなのです。以下、朝日新聞の記事(2017年5月30日)より、一部引用します。

政府は30日の未来投資会議で示した新しい成長戦略「未来投資戦略2017」の素案に、介護サービス利用者の「自立支援」に取り組み、利用者の介護状態を改善させた事業者への報酬を手厚くする方針を盛り込んだ。(中略)

介護サービスの公定価格である介護報酬は、一般的に利用者の介護の必要度に比例する。利用者を寝かせきりにさせている方が報酬を多くもらえ、歩行訓練などの自立支援に取り組んで利用者の状態が改善した場合には報酬が減ることもある。(中略)

成長戦略の素案では、「どのような支援をすれば自立につながるか明らかにする」ため、科学的に分析するとした。介護サービスで実施したケアを事業者に詳細に記録して提供してもらい、これとリハビリデータなどを合わせたデータベースを構築。分析から効果的な支援サービスを割り出し、2021年度以降にサービスごとの報酬に反映させる方針を明記した。(後略)

この解決策の問題点について

介護状態の改善にボーナスを出すということは、介護事業者にとっては「介護状態を改善しやすい要介護者」こそ、利益の源泉になるということです。そうなってしまうと、改善の見込みがない要介護者は、切り捨てられてしまう可能性も高まります。

また、この流れは、リハビリが儲かるということを意味しています。その場合、本人の意思を軽んじる無理なリハビリが行われたりする可能性も高まってしまいます。無理なリハビリは逆効果になることもありえるので、注意が必要です。

これらは、たとえば、介護状態の改善に対して支払われるボーナスに上限額を設けたりすることで、回避できる可能性があるでしょう。しかし同時に、これ以上の改善を生み出しても、それ以上はボーナスを受け取れないといった状況も生み出してしまうため、これもまた、理想的な解決策というわけではありません。

完璧な解決策というのは、なかなか見つからないものです。だからといって、立ち止まるのは最悪の選択です。人類社会は、立ち止まらずに、少しずつ積み上げられた改善によって成立してきたからです。みんなで、新しい問題に出会いながら、前に進んでいきましょう。

※参考文献
・朝日新聞, 『介護状態改善すれば、事業者の報酬アップ 政府が方針』, 2017年5月30日

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