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異世代シェアハウスという発想がある

異世代シェアハウスという発想がある

高齢者になるということは、空き部屋とともに暮らすこと

自宅というものは、夫婦や子供がそろっていて、家族がいちばん多いときのサイズに合わせていることが多いものです。もちろん、家族のサイズの変化に合わせて引越しをする人もいます。しかし、ローンを組んでいたり、長年暮らしてきた馴染みがあったりと、家族のサイズが変わっても、そのままの自宅に住み続ける人もたくさんいます。

たとえば、夫婦と子供2人という、今の高齢者世代の典型的な家族があったとします。子供は、すでに成人して、家を出ていることが多いでしょう。しかし、高齢者になった夫婦は、子供部屋のある一戸建てに、今も暮らしていたりします。そして、パートナーに先立たれたりすると、大きな自宅に1人ということにもなります。

1人では不安ですし、子供たちからも心配されたりします。では、ということで、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を検討する高齢者も多いでしょう。ですが、思い出のつまっている自宅を離れるのは、それだけで、とても辛いことでもあります。なんとかそのまま、自宅で暮らしていく方法はないのでしょうか。

空き部屋をシェアハウスに?

こうした高齢者の自宅の空き部屋に、若手世代(特に学生やシングルマザーなど)がシェアハウス的に入居するという試みがあります。以下、HUFFPOSTの記事(2017年5月23日)より、一部引用します。

「子どもたちが独立して、家を出た」、「伴侶に先立たれて、いまは一人暮らし」……。さまざまな理由から、高齢者が住む自宅で空き部屋が生まれることがある。その一方で、アルバイトや奨学金によって一人で暮らす大学生や、高い家賃に悩まされている若者もいる。

両者をつなげるべく活動しているのが、NPO法人「ハートウォーミング・ハウス」だ。東京・世田谷区を中心に、空き部屋のある高齢者の自宅と、部屋を探している若者を仲介している。若者にとっては手頃な家賃で住めて、オーナーは一人ではないという安心感が持てる暮らしかたである。

一つの住まいを複数でシェアする「シェアハウス」という形態は、日本では比較的新しいものの、徐々に広まってきている。しかし高齢者が自宅の一室を貸す「(異世代)ホームシェア」は、まだまだ認識されていないだろう。

空き家(空き物件)ばかりが注目されてきたけれど

この試みは、とても面白いものです。これまで、誰も住んでいない空き家には、広く注目が集まってきました。空き家は、放置しておくと、治安の悪化や危険につながってしまいます。なんとか、空き家を減らそうという試みは全国に多数あります。しかし、オーナーが不明だったりして、なかなか効果がみられない状況になっています。

空き家というのは、先のように、広い自宅に残された高齢者が、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に引っ越したり、CCRCを活用して移住したりする結果として生まれるものです。もちろん、要介護状態になり、介護施設に入居するようなケースもありますが、その場合は、自宅は売却されることがほとんどです。ですから、高齢者の、要介護前の引越しを止めることができたら、空き家問題の一部は改善することにもなるでしょう。

高齢者と若者という異世代がシェアハウス的に暮らすということには、介護予防という側面もあります。高齢者にとっては孤独が癒されますし、若手世代によっては、育児と仕事の両立の悩みが減ったりする可能性もあります。要するに、昔の「下宿」のようなものかもしれません。

自治体主導の仕組みづくりが欲しいところ

ここでは「自宅に空き部屋があって、誰かに使ってもらいたい」という高齢者と「そうした空き部屋を安価に貸してもらいたい」という若手世代のマッチングが鍵になります。また、空き部屋を有料で貸すことになれば、消防面などで、法律的にクリアしないとならないこともあるでしょう。

これは、自治体が進めてくれたら、理想的です。なぜなら、一般の物件賃貸とは異なり、そこに(自宅の空き部屋をシェアハウスにするという発想のない)高齢者が暮らしているからです。「自宅に空き部屋があって、誰かに使ってもらいたい」という高齢者をリスト化できたとしても、プライバシーの問題から、そのまま、それをWEBに公開することは困難です。

こうした物件と、子育てに苦労しているシングルマザーや苦学生の存在は、すでに、民生委員が把握している可能性があります。もしかしたら、民生委員こそが、こうしたマッチングに最適な存在かもしれないのです。民生委員と自治体が連携すれば、大きな一歩になるかもしれません。

※参考文献
・HUFFPOST, 『「一人じゃないから寂しくない」高齢者と若者の暮らし シングルマザーが始めた”異世代ホームシェア”』, 2017年5月23日

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