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介護福祉士の資格をもっていると、保育士にもなりやすい?本質的な対策になっていない・・・

介護福祉士の資格をもっていると、保育士にもなりやすい?本質的な対策になっていない・・・

保育士が足りない(待機児童問題)

保育士とは、児童福祉施設(保育所など)の運営において必要になる国家資格です。子供を預けたくても預けるところがないという待機児童問題は、この、保育士の不足が原因です。現時点でも、約9万人の保育士が足りていないとされています。

待機児童問題を受けて、児童福祉施設の運営における規制緩和も進んでいます。具体的には、従来の幼稚園(幼稚園教諭免許が必要)に、保育士の資格がなくても、保育所の機能を持たせる認定こども園(2006年より開始)などがそうです(ただし0〜2歳児までは保育士が必要)。

同時に、保育士の資格を取得しやすくするという流れがあります。それが、介護福祉士などの有資格者に対する試験科目の一部免除です。これについて、日経新聞が記事(2017年5月24日)にしているので、以下、一部引用します。

厚生労働省は、介護福祉士などの資格を持つ人が保育士資格を取得する際の試験科目を一部免除する。9科目ある筆記試験のうち、福祉関連で内容が重なる3科目の受験をなくす。保育士資格を取得しやすくすることで深刻な人手不足の解消につなげる考えだ。2018年の導入をめざす。

24日の有識者検討会で決めた。介護福祉士のほか、社会福祉士、精神保健福祉士の3つのいずれかの資格保有者を対象にする。保育士試験科目の「社会福祉」「児童家庭福祉」などの教科を免除する。実技試験の内容は変更しない。

介護福祉士(介護職)も足りないのですが・・・

こうして、介護福祉士が保育士の資格をとると、介護職の一部は、保育所で働くことを選択するようにもなるでしょう。そうなると、すでに足りていない介護職が、ますます足りなくなります。足りない人材を、介護業界と保育業界で取り合うという、よくない図式が生まれてしまうのです。

保育士が足りないのは、過酷な労働に対する対価が見合わない(待遇が悪い)からです。朝から晩まで働いても、手取りが20万円に到達することは(ほとんど)ありません。残念ですが、これは介護職の現状にとてもよく似ています。保育士には夜勤が(あまり)ないので、そこは介護職のほうが厳しいかもしれませんが。

とにかく、保育士でも介護福祉士でも、人手不足を解消するには、待遇の改善が必要です。どちらの業界でも、よく、問題は待遇ではなくてストレスだという意見も目にします。しかし、それは詭弁です。詳しくは、過去記事『介護職のなり手がいない真の原因は、ストレスではない。』を参照ください。

真の解決策は、保育士や介護福祉士の公務員化である

公務員の待遇は、福利厚生面も含めて、保育士や介護福祉士よりもずっと高い水準にあります。公務員は、大学生の就職先人気ランキングでトップになるような、人気職種です。人気の理由は、そうした待遇の良さと、絶対に倒産しないという安定にあります。

なぜ、公務員にこうした待遇と安定が認められているかというと、公益に従事する公務員にはストライキを起こす権限がないからです(日本の場合であって、他国ではストライキを起こせるところもあります)。実際に、警察官や消防士がストライキを起こしてしまえば、有事に、大変なことになってしまいます。

保育士や介護福祉士もまた、実質的にはストライキを起こせない職種でしょう。子供が集まっている保育所で、保育士がストライキを起こしてしまえば、子供が危険にさらされます。老人ホームで、介護職がストライキを起こせば、死人が出てしまいます。

本来であれば、保育士や介護福祉士も、警察官や消防士のように、公務員であるべきだと思います。これはなにも、突飛な発想ではありません。現実としてデンマークなどでは、医療や福祉に従事している人の多くが公務員です。

しかしいきなり、保育士や介護福祉士を公務員にするのは難しいでしょう。であれば、まずは準公務員として、不足している給与の一部を直接、国が持つなどの対策は可能なはずです。場合によっては、保育士や介護福祉士は、生活保護よりもお金をもらえないのです。それが正しい状態だとは、とても考えられません。

※参考文献
・日本経済新聞, 『保育士資格、介護士ら取得しやすく 一部試験免除』, 2017年5月24日

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