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セブンイレブンの高齢者対応戦略?コンビニはさらに進化する!(ニュースを考える)

セブンイレブンの高齢者対応戦略?コンビニはさらに進化する!

ローソンが先行してきた、コンビニ業界の高齢者対応

これまで「介護ローソン」という言葉があるほどに、介護への対応については、コンビニの中でもローソンが先行していると考えられてきました。しかし、他のコンビニ、特に王者セブンイレブンが、いつまでもこれを許しておくはずがありません。

セブンイレブンは、ローソンの戦略とは異なるアプローチを考えているようです。背後にどのようなコンサルタントがいるのか不明ですが、思わずヒザを叩きたくなる、優れた戦略だと感じます。まずは、このセブンイレブンの戦略についての、日本経済新聞の報道(2017年4月17日)より、一部引用します(改行位置のみKAIGO LABにて修正)。

セブン―イレブン・ジャパンは団地の住民向けコンビニエンスストアを開発する。団地内に出店し、電球交換といった身の回りの悩みに対処するサービスを提供する。団地は郊外に立地する例が多く、買い物などに悩む高齢者も増えている。食事宅配などのサービスを充実し、生活インフラとして住民を支える。全国で100店規模の出店を目指す。(中略)

1960年代~70年代に、都市部の郊外で本格的に建設された団地では住民の高齢化が目立つ。買い物に行くのが難しいなど、日々の生活に不自由を感じる団地住民は増える見通し。セブンは団地内で、日々の買い物に悩む高齢者など向けに食事宅配を提供するほか、身の回りの悩みを解決するサービスも検討する。鍵の紛失解決や水道トラブルへの対処、粗大ゴミの搬出といったJSが手掛ける団地管理業務の一部をコンビニでできるようにする。

コンビニの競合状態について

どんなにインターネットが発達しても、最後に、顧客と現実のやりとりをする(顧客接点を持つ)のは人間です。ネット通販も大事ですが、それだけで、人間のすべての生活が成立するわけではありません。むしろ、ネット通販がカバーしている領域は、メディアで強調されるほど大きなものでは(まだ)ありません。

コンビニ各社は、そうした意味で、多くの日本人にとっての顧客接点になっています。そのため、商品のメーカーは、コンビニに頭があがらないのです。メーカーは、なんとか、コンビニの棚に自社の商品を置いてもらおうと必死です。それだけ、日本の社会にとって、コンビニの重要性は高いということでもあります。

逆に言えば、コンビニ各社は、競合との間で、顧客接点としての質を競っています。コンビニ各社は(1)地理的な便利さ(2)欲しい商品が手に入る便利さ(3)清潔感、などで競っています。さらに最近では(4)知らない商品が見つかるショッピングの喜び(5)優しくて頼りになる店員がいる安心感、というレベルでも競っています。

とはいえ、コンビニのヘビーユーザーからすれば、もはやコンビニ各社は(1)地理的にはどこも大差ない(2)商品ラインアップはどこも大差ない(3)どこも清潔(4)どこも新商品であふれている、という状態です。こうしたところでは、差別化できなくなってきているのがコンビニ業界とも言えます。

セブンイレブンが、団地の住民向けに、団地内への出店を仕掛けるのは、こうした競合状態があってのことです。まず、団地内に出店できれば、団地の住民にとって(1)地理的に圧倒的に優位という事実が生まれます。特に高齢者は、現役世代よりも行動半径がせまくなるので、この優位性ははかり知れません。

セブンイレブンの真の狙いは?

団地内に出店すると、地理的には圧倒的優位になります。同時に、特定の団地に特化されるため、カバーできる顧客の人数は減ってしまう可能性が高いでしょう。そもそも、なんらかの不利な点があるからこそ、過去には、コンビニは団地内での出店を控えてきたはずです。

セブンイレブンの真の狙いは、おそらく(5)頼りになる店員がいる安心感、という部分です。この点では、現時点でのコンビニ各社は、それに成功しているとは言い難い状態です。それどころか、アルバイトの採用が困難になってきているため、この点では悪化が見られるほどでしょう。

セブンイレブンは、このピンチをチャンスに変えようとしているのではないでしょうか。先のニュースでは、電球交換、食事宅配、鍵の紛失解決、水道トラブルへの対処、粗大ゴミの搬出というところまで、店員が行う可能性が示唆されています。しかし、こうしたことは、人材難に苦しむ既存のコンビニでは不可能です。

では、ここを、マンション管理業者と組んだら、どうなるでしょう?マンション管理業者は、マンション管理人を多数抱えています。競争も激しいので、マンション管理人の付加価値をどう生み出すのかで、マンション管理業者は悩んでいます。

このマンション管理人が、団地内のコンビニの店員として、介護も含めた、様々なサービスを提供したら・・・。マンション管理業者としては、自社の付加価値になり、経営が安定します。セブンイレブンとしても、短期のアルバイト採用に苦しむことがなくなり、長期的にそこにいてくれる人材が容易に確保できます。

マンション管理業者と組めば、通常のコンビニの売り上げのみならず、先にあげたような各種サービスでも売り上げが得られます。いつかは、セブンイレブンがマンション管理業者を買収してしまえば、こうした売り上げの全ては、セブンイレブンのものになります。そうなれば、最強の顧客接点が誕生することになります。

最強の顧客接点は、商品のメーカーに対して、圧倒的な交渉力を持ちます。セブンイレブンは、そうして、商品の仕入れ価格を最低に保ちながら、顧客満足のためにより多くのお金を使えるコンビニになります。もちろん、他のコンビニも、これを黙って見ているはずはありませんが。

※参考文献
・日本経済新聞, 『セブンイレブン、団地「守る」コンビニ100店』, 2017年4月17日

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