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大阪府警、認知症が疑われる高齢者が見つかった場合の対応を改善(ニュースを考える)

大阪府警、認知症が疑われる高齢者が見つかった場合の対応を改善

認知症は社会課題になる

認知症については、KAIGO LAB でも、過去になんども記事にしてきました。そもそも認知症という言葉は、認知機能が弱まっている「状態」を表すものであり、特定の病気を示すものではありません。この背後には、多くの異なる病気があります。

こうした認知症は、今後も増え続け、8年後の2025年には、1,300万人になるという試算まで存在しています。この試算は、恐怖心をあおりすぎという面もあるものの、なんらかの対策が必要であることの危機感につながるなら、いたしかたないところもあります。

認知症を社会問題として考えた場合、その問題解決の難しさを嘆いているヒマはもうありません。認知症の人をどう減らすのかということよりも、私たちが、認知症に苦しむ人々とどう共に暮らしていくのかという具体的な社会設計をすることのほうが大事な段階にあります。

大阪府警の試みに学ぶ

こうした中、大阪府警が、あらたな取り組みを開始し、効果を上げているというニュースが入ってきました。この取り組みは、徘徊などの理由で、大阪府警が保護した高齢者に認知症が疑われたとき、家族や自治体と連携するというものです。

そもそも、これまでそうした取り組みがなかったこと自体が不思議ではあります。しかし、過去について嘆いても仕方がありません。とにかく、現状を改善する取り組みが進んでおり、それが成果に結びついているという事実に注目しましょう。以下、産経WESTの記事(2017年4月17日)より、一部引用します。

今回の制度で府警は、認知症とみられる高齢者らを保護した際、本人や家族の同意を得て氏名や住所、年齢、症状を自治体に連絡。自治体は家族らに介護サービスの相談窓口を紹介する。昨年5月から試験的に実施した城東署(大阪市城東区)は、今年2月までに116件の情報を城東区に提供。今年に入り6署でも実施し、計7署で1~3月に65歳以上で徘徊などで保護された件数は前年同期に比べ約1割減った。

きちんと横展開がなされるのか?

ご存知のとおり、日本の警察は、世界最高レベルの仕事をする人々です。とはいえ、弱点もあります。責任範囲(所轄)が都道府県などによって分割されており、横の連携が弱い(縦割り組織)という部分です。

なので、どうしても気になるのは、こうした優れた改善活動が、果たして、きちんと日本全国に横展開されていくのかというところです。ありそうなのは、徘徊してしまった高齢者が、暮らしているのとは異なる都道府県で発見された場合、この仕組みが機能しないといったことです。

もちろん、10年後といった先の未来には、横展開も終わっていることでしょう。ただ問題は、もはや日本の介護には、10年もの期間を待っている余裕はありません。現場の知恵から生まれた優れた改善は、少しでも早く、日本全国に横展開されるようなプロセスが必要なのです。

企業という文脈では、経営企画室などが、社内で行われている改善活動を把握・評価し、優れたものは全社に横展開しています。医療・介護行政でも、こうしたことを専門とするポストや部署を設置し、第三者機関がその働きぶりを評価していくことが重要でしょう。

※参考文献
・産経WEST, 『認知症高齢者の情報、自治体に提供 徘徊防止へ 大阪府警』, 2017年4月17日

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