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引退して、悠々自適なんてない。引退の苦しみは、次の目標設定にある

引退して、悠々自適なんてない。引退の苦しみは、次の目標設定にある

浅田真央選手が引退となりました

世界中の人に勇気を与え続けた、フィギュア・スケートの浅田真央選手が、引退を表明しました。とても残念ですが、仕方のないことでもあります。まずは「お疲れ様でした」「ありがとうございました」と伝えたいです。

プロ・スポーツ選手の世界では、よく、引退後に何を生業としていくか(セカンド・キャリア)が問題になります。子供のころから、だた1つのスポーツに人生をかけてきたプロ・スポーツ選手にとって、そのスポーツを離れることは、相当に辛いことでしょう。

しかし、その辛さの本当のところは、特定のスポーツから引退することそのものではないという指摘もあります。それは、次に自分の人生をかけられるような仕事が見つからないことこそ、引退することの辛さの根源だという意見です。

特定のスポーツで大いに活躍して注目を浴び、世界に名前が轟いたような人であれば、この辛さはさらに大きくなります。現役時代に見てきたような、高い目標を失ってしまうからです。セカンド・キャリアとして、新たなビジネスをはじめる場合は、当然、下積み(基礎練習)からとなります。しかし、下積みには、現役時代のような高い目標は設定できないのです。

世界的に有名になった選手が、別の分野において地味な下積みに耐えられるかというと、簡単なことではありません。プライドもあります。周囲もまた、いつまでも現役時代のことばかりを話題にして、新しいことにチャレンジしている自分を見てくれないということもあるでしょう。

会社勤めをしてきた人の定年退職も同じ

これはなにも、プロ・スポーツ選手に限ったことではありません。長年、会社勤めをしてきて、定年退職するという人もまた、セカンド・キャリアに悩むのです。イメージでは、定年退職というのは「毎日が日曜日の悠々自適な生活」と感じる人もいるでしょう。しかし、それは定年退職の現実とは大きく異なります。

本当は、こうしたセカンド・キャリアに思い悩むことの辛さを、現役のときに理解しておくべきなのです。現役のときから、引退後の暮らしを想像し、十分な時間をかけて、次の人生への準備を開始しておく姿勢を特に、パラレル・キャリアといいます。

セカンド・キャリアは、引退後に開始されるものです。これに対してパラレル・キャリアは、現役時代から副業的に他の仕事を平行(パラレル)にはじめるという発想です。パラレルに複数の仕事をしていけば、現役を引退する時点で、他の仕事の下積みも終わっています。

他の仕事の下積みが終わっていれば、次の仕事においても、はじめから高い目標を設定できるでしょう。特に現役時代に特定の分野で活躍できていた人であれば、もともと能力や資質には恵まれているのですから、次の仕事でも大活躍できる可能性も高まります。

さらに、パラレル・キャリアとして設定する仕事も、1つではなくて複数にすることで、自分に合っている仕事を見極めていくことも可能になります。現役引退後に、安易に、レストランなどを開いて「大やけど」をするようなことも減らせます(集客力のある、有名な元プロ・スポーツ選手のレストランでさえ、うまくいくことは稀です)。

生涯現役の時代になっていく

そもそもなのですが、少子高齢化社会に突入し、財政が逼迫していく日本においては、もはや、悠々自適な老後ということ自体、成立しません。年金は減らされ、医療や介護にかかる費用(自己負担部分)も拡大していくことは間違いありません。そして、税金もまた高くなっていくのです。

定年退職という制度自体、今後は撤廃されていくでしょう。むしろ、定年退職させられる職場では、怖くて働けないという人も増えていくはずです。定年退職してしまえば、そのあと、正社員としての地位を得ることは不可能に近いことにもなっていくからです。

そのように考えたとき、パラレル・キャリアを推進することの重要性が、さらに際立ってきます。1つの職場で、1つの専門性を高めていくだけでは、人生が破綻してしまうリスクを回避できないということです。人生が破綻してしまったときに受けられてきた生活保護もまた、今後は、額が減らされたり、受けにくいものになっていくことは確実です。

誰にとっても、いま、この瞬間こそ、人生で最も若いときです。いまから、現在の専門性とは異なる、別の専門性についての下積みにとりかかっておくことが、将来の自分を助けてくれる唯一の方法です。天は自ら助くる者を助く(Heaven helps those who help themselves)と言いますが、現代の日本ほど、この言葉が重い時代もないかもしれません。

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