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あと8年で、認知症が1,300万人にもなる?ちょっと立ち止まって考察してみる(ニュースを考える)

あと8年で、認知症が1,300万人にもなる?ちょっと立ち止まって考察してみる

2025年、認知症は日本を覆い尽くすのか?

2025年が、日本の介護にとって非常に重要な分岐点になることは、これまでも記事にしてきました。そんな中、Yahoo!ニュース(2017年3月25日)が、ショッキングな報道を行っています。以下、その記事から一部引用をします。

いまから8年後の2025年。団塊世代のすべての人が75歳以上の後期高齢者に達するこの年を皮切りに、日本は未曾有の「認知症社会」へと突入する。厚生労働省は、認知症の人が2025年に最大730万人にのぼると発表しているが、その予備群とされる軽度認知障害(MCI)の人数は明らかにしていない。

そこで今回、すでに発表されている軽度認知障害の有病率と、複数の専門家への取材を重ね合わせ、独自に数値を算出した。その結果、2025年に軽度認知障害の人は580万人を超える見込みがあることがわかった。認知症高齢者の数と合計すると、総数は1300万人に達する。国民の9人に1人、65歳以上に限れば、実に3人に1人が認知症あるいはその予備群の人になるという「認知症1300万人時代」が来る可能性が浮かび上がってきた。

認知症の現実を見ないで、恐怖心をあおりすぎではないか?

介護現場には、日本の認知症に関する報道は、恐怖心をあおるものが多く、その実態を表現していないという意見も少なからずあります。実際に、認知症という病気は存在せず、その背景には、多数の原因となる病気が存在しています。それらの病気が生み出す、認知機能が低下する状態を、認知症と呼んでいるのです。

もちろん、認知症の状態にあって、自動車を運転したりすると、大変な結果になってしまいます。ただそれは、認知症が原因というよりも、単純に、心身が老化している高齢者による自動車の運転は危険であるということでもあります。実際に、認知症であっても、普通に幸せに暮らしている人も多数います。

当然ですが、背景となる病気が多数あれば、認知症と診断される人も増えます。また、その測定の仕方を厳しくすれば、人数も多く見積もることが可能です。この記事はショッキングではありますが、本当に介護現場の実態を表しているかというと、なんとも微妙です。

高齢化社会とは、要するに、認知症と共存する社会である

人間に限らず、動物であれば、高齢化にともなって、認知機能が低下するのは当たり前のことです。そこに厳しい基準を設ければ、高齢化社会においては、誰もが認知症ということになってしまいます。ある意味で、認知症というのは、高齢化社会には避けることのできない状態であって、自然なことでもあるのです。

厚生労働省が、軽度認知障害(MCI)の人数を明らかにしていないのは、それを隠したいからではないと思われます。そうではなくて、認知症の現実に無知な状態の多くの国民に対して、無駄に認知症への恐怖をあおりたくないということもあるのではないでしょうか。

「認知症が、1,300万人に!恐ろしい!」という短絡的な発想は、差別につながります。確かに、認知症は、早期発見し、早期対応することで、多くの症状からの影響を軽減できる部分もあります。

もちろん、認知症への対応は、決して楽なことではありません。しかし、今の日本には、本当に恐ろしいのは高齢化社会そのものだという認識が求められると思うのです。結局のところ、高齢化社会に生きるということは、社会の構成員に対して、認知症と共存していくことが求められるということです。

高齢化社会の実態を把握することなく、認知症という、その一部の状態について恐怖したりすることは、無駄なことです。プールに放り込まれることがわかっているなら、水を恐れることよりも、水に慣れることのほうが有益だし、大切なはずなのです。

※参考文献
・Yahoo!ニュース, 『日本社会が直面する、認知症「1300万人」時代』, 2017年3月25日

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