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嗅覚(きゅうかく)が衰えてきたら注意が必要?

嗅覚(きゅうかく)が衰えてきたら注意が必要?

嗅覚(きゅうかく)の重要性について

においを感じる感覚である嗅覚(きゅうかく)は、とても原始的で重要なセンサーです。実際に、嗅覚は、食べるものが安全かどうかを判断したり、異性のフェロモンをとらえることで種の繁栄を目指すといった、多くの生物にとってなくてはならないものです。

警察犬として活躍するイヌの例をあげるまでもなく、人間よりも嗅覚が発達している動物は多数います。しかし人間であっても、冷蔵庫をあさって「これ食べて大丈夫かな?」というときは、においから、それを判断しようとします。

においは、私たち人間の記憶や感情とも密接に結びついています。特定のにおいを嗅いで、懐かしい気持ちになったりもするでしょう。これが嫌な記憶と結びついていると、逆に、特定のにおいから、嫌な感じを受けたりもします。こうしたにおいの持つ心理効果から、アロマセラピーのような民間療法も生まれています。

なお、においには「いい香り」「嫌なにおい」といった良し悪しの表現はありますが、それ以上に表現が多様になったりはしないという特徴もあります。これは、嗅覚が非常に原始的な感覚であり、理性よりもむしろ感情に直結している証拠であるという意見もあります。

嗅覚が衰えるということは、より重大な異常のサイン?

こうした嗅覚が鈍ってくるということは、記憶や感情を司る脳の部位に、なんらかのダメージが発生している可能性を示すでしょう。実際に、認知症になると、嗅覚に異常をきたすのではないかという研究もあります(東北大学, 2012年)。

そして、こうした研究の中には、なんと、嗅覚の衰えと寿命の関係に関するものもあるようです。以下、トカナの記事(2017年3月31日)より、一部引用します(改行位置のみ、KAIGO LABにて修正)。

研究チームは、今から10年前に40~90歳の1774人のスウェーデン人を対象にフルーツやスパイスなど13の異なる匂いを認識できるかテスト。その結果と10年以内に死亡した被験者との相関関係を調べたところ、認識できない匂いが増えるほど死亡リスクも高まり、完全に嗅覚を喪失した人に至っては10年以内の死亡率が19%も高いことが分かったという。

同大学のヨナス・オロフソン博士は、具体的な生物学的プロセスの解明は今後の課題としつつも、豪紙「The Australian」(3月23日付)に2つの可能性を語っている。1つは、嗅覚が身体の再生能力を測る測定器である可能性。嗅覚神経は自己修復能力のある幹細胞を持つため、嗅覚の衰えは自己治癒能力の衰えを示しているという。そして2つ目の可能性は、嗅覚神経が呼吸器や中枢神経系に悪影響のある化学物質への蓄積曝露の基準として表れている、というものだ。

たかが嗅覚ではなく、非常に重要な指標として

まだ仮説にすぎませんが、嗅覚の異常は、生命の根源に関わる重大なサインと考えることができるのです。自分自身はもちろん、身近な高齢者の嗅覚に対して関心をもち、そこに異常があれば、すぐに医師などに相談する必要があります。

嗅覚は、原始的な感覚だからこそ、脳を含めた身体の深い部分とつながっている可能性があります。そうした嗅覚に異常が出るということは、そもそも、より原始的な生物にとっては、毒であっても食べてしまう、子孫を残す能力が欠如してしまうといったことに直結していることなのです。

たかが嗅覚とばかにすることなく、是非とも、より多くの人に意識してもらいたいところです。また、簡単な嗅覚テストを用いた、様々な病気の早期発見が発達することを希望します。それが結果として、高騰し続ける日本の医療費・介護費の抑制につながれば、素晴らしいことだからです。

※参考文献
・明治生命厚生事業団, 『匂いと脳香りで健康づくり』, ウェルネスレター(vol.8), 2003年3月
・東北大学大学院医学系研究科, 『嗅覚検査によってパーキンソン病における認知症発症を予測』, 2012年3月2日
・トカナ, 『【警告】嗅覚の衰えは「死の前触れ」であることが判明! 原因不明、為す術なし(最新研究)』, 2017年3月31日

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