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介護職の仕事は、ロボットに奪われるか?どうやら、そんなことはなさそうです

介護職の仕事は、ロボットに奪われるか?どうやら、そんなことはなさそうです

発展するロボット技術とその現場への導入

ロボット技術の開発は、急ピッチで進んでいます。こうしたロボットには、人工知能が搭載されているケースがほとんどです。最先端のロボット技術を調べてみると、これらは、ひと昔前の工場で見られたような工作機械とは全く異なる次元にまで到達しています。正直、恐怖さえ感じるほどです。

実際に、世間では、ロボットや人工知能に奪われる職種の危険度ランキングなどが話題になっていますね。自分の仕事は大丈夫だと思っている人の数は、年々、減っていると思って間違いないでしょう。誰もが、新技術の登場を、不安と期待の複雑な思いで見つめています。

日本には、厳しい解雇規制があり、従業員を簡単には解雇できない状態にあります。日本では、いちど雇ったら、その人材がいかに働かなくても、強制的に仕事を辞めさせることはできないのです。一見すると、これは良いことのような気がします。

しかし、経営者からすると、日本で人を雇うということは、かなりリスクの高い行為ということになります。ですから経営者としては、人間を雇うよりも、多少高くても、ロボットを導入したほうが合理的という環境が、日本には存在しているのです。ここは、意外と一般には理解しにくいところですが、事実です。

介護職の仕事はロボットに奪われるか?

あと100年もすれば、究極的には、誰もが生きるための仕事をしなくても、幸せに生きられる世界が実現する可能性もあります。しかし、そうした遠くの未来のことではなく、近い未来だけを考えると、そこには、ロボットや人工知能の登場による大失業社会が見えてきます。

たとえば、自動運転技術の現実化は、かなり近い未来のことになりそうです。そうなると、タクシー、バス、トラックなどのドライバー(国内だけで約135万人)の雇用は失われるでしょう。こうしたことは、なにも、自動運転に限りません。様々な職種の仕事が、これから無くなっていきます。

そうした中、介護職の仕事は、どうなのでしょう。ニュースなどでは、介護現場へのロボットの導入は、積極的に進められているように感じます。また、介護の現場は人手不足なので、ロボットなどの導入には、現場からは、不安だけでなく、期待も大きいと思われます。この点について、CNNが面白い報道を行っています。以下、CNNの記事(2017年3月27日)より、一部引用します(改行の位置のみ、KAIGO LAB にて修正)。

ロンドン(CNNMoney) 今後15年以内に米国で38%、日本では21%の雇用がロボットや人工知能(AI)に奪われる恐れがある――。大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)がこのほどまとめた報告書で、そんな見通しを明らかにした。ロボットに奪われかねない職種の割合が多い国は、米国に次いでドイツが35%、英国は30%だった。(中略)

ロボットの進出に伴って社会的格差が拡大しかねないとも警鐘を鳴らした。ロボットの設計や製造を担う人材、人工知能を補うスキルを持った人材はますます豊かになる一方で、それ以外の人材は取り残されかねないと同氏は述べ、「貧富の格差はさらに拡大する可能性がある」と予想している。一方、教育、医療、福祉などの職種がロボットに取って代わられるリスクは小さいと予想されている。

非常に恐ろしい報告ですが(1)日本は諸外国よりも失業リスクは小さい(2)教育、医療、福祉の失業リスクが小さい、という2点は注目に値します。介護職は、医療や福祉に関わる職種ですから、ロボットや人工知能の台頭については、それほど恐れる必要はないということになりそうです。

介護職は、ロボットや人工知能の発展に寄与する側にいる

そう考えると、ロボットや人工知能に対する介護職のあり方も見えてきます。介護職は、自分たちの仕事がロボットや人工知能に奪われるという認識でいる必要はなさそうです。むしろ介護職には、ロボットや人工知能で仕事を奪われた人々の雇用の受け皿としての期待さえあります。

それこそ、先のCNNの記事でいうところの「人工知能を補うスキルを持った人材」というのが、介護職になるのかもしれません。介護職は、ロボットや人工知能が、要介護者(利用者)の自立に貢献できるように、それらを制御し、支援する仕事をしていくということです。その先には、介護職の待遇改善の期待もあります。

これを実現するためには、介護職は、これまで以上に、ウェットな人間の心理に関する知見をためこんでいかないとならないでしょう。また、ロボットや人工知能の発展をただ待つのではなく、その発展に貢献するために、メーカーとの連携も積極的に行っていくことも求められます。

※参考文献
・CNN, 『ロボットに奪われる雇用は日本21%、米38% PwC予想』, 2017年3月27日

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