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【アセスメント】高齢者(要介護者)の社会的な生活の状況を把握しておきたい

高齢者(要介護者)の社会的な生活の状況を把握しておきたい

人間は社会的動物である

人間は、一人では生きられないようにできています。背景には、700万年という人類史を通して、集団で、社会的な生活を営むものだけが生き残ってきたという進化論的な事実があります。ですから逆に、私たち人間が不安になるのは、こうした社会的な生活から自分が抜け落ちてしまっているときです。

社会的な生活から距離をおいてしまうと、不安になるだけではありません。病は気からというとおり、こうした不安は、精神面だけでなく、肉体面にも悪影響をおよぼします。いまはまだ健康だったとしても、長期間こうした環境にあると、フレイルを通して、要介護状態に至ってしまうのです。

特に、定年退職後の高齢者の場合、社会との関係性が途切れてしまい、引きこもりのようになってしまうケースも散見されます。そうした親の状況を知って、不安に思っている家族も少なくないでしょう。かといって、老化についての知識が不確かだと「高齢者とは、そもそも、そういうものなのかもしれない」と感じても無理はありません。

介護予防や、要介護状態の悪化を防ぐためにも、高齢者(要介護者)の社会的な生活の状況を把握しておくべきなのです。そして、そこに問題があれば、問題の解決や改善を進めないと、どうしても良くない結果につながってしまいます。とはいえ、こうした状況の把握は、簡単なことではありません。

専門家のためのアセスメントを活用する

専門家が行う現状把握のことをアセスメント(assessment)と言います。こうしたアセスメントの中でも、特に、高齢者(要介護者)に特化されているものに、インターライ方式と呼ばれるものにのっとったものがあります。

このインターライ方式のアセスメントの中から、社会的な生活のアセスメント(セクションF/心理社会面)を参考に、以下、素人でも使えるチェックポイントをまとめてみます。インターライ方式のままではない(特に介護施設内での活動は除外している)ので、気になる場合は、参考文献から、原典をあたるようにしてください。

1. 社会関係

高齢者の、社会的な活動や日々の暮らし振りを把握する項目です。(1-1)趣味の会合やサークルへの参加といった活動に、長期的に関与している(1-2)長年の付き合いのある家族や友人、近所の人などと直接顔を合わせる活動がある(1-3)家族や友人に対して「恩知らず」「捨てられた」といった敵対心を抱いている(1-4)家族や友人のことを怖がっており、そうした人が近くにいると萎縮してしまう、といった点に注意する必要があります。

2. 孤独

高齢者の孤独を把握する項目です。大事なのは、仮に社会関係が充実しているように見えても、実際には、本人は孤独を感じていることも少なくないという認識です。(2-1)本人が「寂しい」ということを周囲に言葉で伝えている(2-2)家族や友人、近所の人からみて、寂しそうにしているように見える(2-3)日中、ひとりきりでいる時間が大幅に増えている、といった点に注意する必要があります。

3. 自発性・参加意識

高齢者がなにか新しい環境に適応するときの様子から、自発性や参加意識を把握する項目です。(3-1)新しい環境においても落ち着いていて、知らない人とも、積極的に会話することができる(3-2)知らない人が「一緒にやりましょう」と誘いをかけたとき、それに対して肯定的に反応することができる(3-3)新たなグループ活動に自ら参加する意欲があり、実際にそうした行動をとっている、といった点に注意する必要があります。

4. 強みの発揮

高齢者が長年の人生で鍛えてきた強みが、社会の中で発揮されているかを把握する項目です。(4-1)現実的に到達可能な目標をもって、日々、なにかに取り組んでいる(4-2)他者の役にたつような活動に参加しており、そうした他者から感謝されている(4-3)他者から支援されている、人脈に助けられていることを自覚しており、それに感謝している、といった点に注意する必要があります。

アセスメントをして、それからどうするのか?

こうした項目について、高齢者の状況を把握したとします。そうすると、それぞれに良い点と悪い点が見えてくるでしょう。良い点は、維持しつつ、さらに拡大させるような機会がないかどうか考えていく必要があります。しかし、悪い点については、どうすればよいのでしょう。

高齢者が要介護者である場合は、ケアマネに報告するのが、まず第一のアクションになります。相談するだけで解決したりはしないかもしれませんが、それでも、ケアマネからすると、後のケアプランの作成にとって必要になる重要な情報です。

高齢者がそれなりに健康であり、要介護者ではない場合は、悪い点について、本人がそれを把握する必要があります。悪い点とはいえ、それが長年の個性という場合もあります。本人が、その状況を悪いと考えていないと、改善することも不可能でしょう。

※参考文献
・John N. Morris, et al., 『インターライ方式 ケア アセスメント』, 医学書院, 2011年12月1日

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