閉じる

「ヤングケアラー」という言葉をご存知ですか?あなたが子供に介護される明日

82168_m

イギリスでの先行調査

イギリスでは、子供(5〜17歳)の中で、広い意味での介護を行っている人数が調査されてきました。こうした、無報酬で介護を行う子供たちのことを、特に「ヤングケアラー」と言います。

イギリスの「ヤングケアラー」は、2013年の公式発表では177,918人(England and Wales)が行っています。BBCによれば、こうした公式発表は保守的なもので、現実には70万人を超える子供だちが、介護に携わっていると言います。

本来は、大人が担うべき介護を、子供が行っているという現実はショッキングでした。結果として、このイギリスの調査を受けて、世界中で「ヤングケアラー」の調査が開始されています。

「ヤングケアラー」のなにが問題なのか

専門家は「ヤングケアラー」には(1)親子関係の逆転(2)教育問題;遅刻・早退・欠席・不登校など(3)社会生活と友人関係;社会的孤立(4)経済問題;貧困など(5)人格形成と就職問題、という大きく5つの問題が発生すると言います。

こうした若者の就学、進学、就職、社会参加の機会が奪われることは、そもそも基本的人権の侵害です。結果としてそれは、国力を極端に下げていくことにもなります。

日本の状況はどうなのか

そもそも、日本における「ヤングケアラー」の現状は、まだよくわかっていません。根本的な理由は、日本の介護は「高齢者福祉」という枠内で行われているからです。

それでも、たとえば世田谷区の調査では、要介護認定を受けて、ケアマネが配置されている家族の中に「ヤングケアラーがいる」と回答したケアマネが22%になりました。成蹊大学の澁谷智子講師の調査によれば、これが35%にもなります。

これらの調査は、介護される大人が要介護認定を受けているという前提の調査であり、社会経験の足りない「ヤングケアラー」が、はたして、要介護認定の申請までやれているかは考慮されていません。非常に危険な状況です。

こうした調査の中で、子供のコメントとして「先生に話したけれど(介護のことを)理解してもらえなかった」「楽しい学生生活はまったくなかった」「お互いを思いやる余裕はなくぎりぎりだった」といったものがあります。今更感もありますが、早急な対応が求められます。

子供に介護の基本的なことを伝えていますか?

たとえば、若年性認知症の平均年齢は約51歳です(厚生労働省/2009年)。調査の時点で4万人が確認され、男性が多いという特徴があります。子供のことを思うなら「まさか自分が」という感覚は捨てるべきでしょう。せめて、要介護認定の申請とケアマネとの連携だけでも、子供に伝えておいていただきたいです。

※参考文献
・Office for National Statics, “Providing unpaid care may have an adverse affect on young carers’ general health”, 04 June 2013
・BBC News, “Number of child carers ‘four times previous estimate'”, 16 November 2010
・NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン/一般社団法人日本ケアラー連盟/牧野史子, 『「ヤングケアラーの存在」~見えてくる課題~』, 2014年3月14日
・世田谷区/高齢福祉部高齢福祉課, 『ヤングケアラー実態調査の結果について』, 2014年9月22日
・NHK Online, 『親の介護を担う10代20代の若者たち その実情は…』, 2014年3月20日
 

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

介護に強い保険に見直しませんか?