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震災からもうすぐ6年。高齢者向けの被災地支援も減っていく・・・(ニュースを考える)

震災からもうすぐ6年。高齢者向けの被災地支援も減っていく・・・(ニュースを考える)

東日本大震災から、もうすぐ6年になります

東日本大震災は、高齢者の介護予防や介護そのものにも、大きな影響を与えています。その内容については、過去にKAIGO LAB でも記事にしてきました。

当然のことなのですが、震災からの復興支援は、徐々に減ってきています。復興支援の多くは、無償だったり、採算度外視だったりします。そのため、関わる年月が長くなればなるほど、継続していくことが困難になってしまうのです。

東京からだと、被災地までの交通費だけで3〜5万円くらいかかってしまうのが現実です。そこに宿泊費や食費も乗ってきますから、週末を利用して被災地入りするというのも、個人レベルでは、かなりの負担です。

高齢者向けの被災地支援も多数ある(あった)

東日本大震災で自宅が被災してしまった人の多くは、仮設住宅での暮らしを余儀なくされてきました。こうしたケースでは「リロケーション・ダメージ」と言って、住み慣れた自宅を離れるときに起こる精神的なダメージが警戒されます。とくに認知症の人の場合は「リロケーション・ダメージ」による症状の悪化が懸念されるのです。

また、震災前までは漁業などに従事してきた高齢者が、仮設住宅での暮らしで漁業から離れてしまったりするのも危険です。運動不足を飛び越えて「閉じこもり」にまでいたってしまうリスクが高まるからです。こうしたケースもまた、一種の「リロケーション・ダメージ」と考えられます。

こうした状態をなんとかしようと、多数のボランティアが、高齢者という文脈での被災地支援をしてきました。しかし、そうした活動もまた、他の活動と同様に、そろそろ潮時という状態になってきています。以下、神戸新聞NEXTの記事(2017年3月5日)より、一部引用します(段落のみ KAIGO LAB が調整)。

宮城大と兵庫県立大の学生らが4日、東日本大震災の被災高齢者らを対象に「スマイル健康塾」を、宮城県南三陸町のホテルで開いた。避難所や仮設暮らしで動かなくなり心身の機能が低下するのを防ごうと、震災半年後から続けてきたが、今回で一区切り。「このつながりを大切に」と今後を模索する。(高田康夫)

多くの被災者が年2回の開催を心待ちにしてきた。同町歌津地区の畠山岩夫さん(81)は震災前に脳梗塞を患い、津波に襲われた際には近隣住民の助けで避難できたが、27人が1軒の家に暮らす生活に体調を崩し入院した。

その後、仮設住宅に入居。不安を感じていた折に出合ったのが健康塾だった。「にぎやかで楽しくて。リハビリをする力をもらえた」と学生らに感謝する。12回目となるこの日、同町の95人が参加。畠山さんは、言葉のリハビリで続ける歌を披露し「ここまで元気になった」と報告した。(後略)

震災からの復興は終わっていない

このようにして、ボランティアが減っていく中、復興は進んでいるのかというと、疑問があります。現実には、復興の二極化が進んでおり、復興しているところもあれば、復興がまったく行き届いていないところもあります。そしてこうしたとき、社会的弱者は、復興からおいてきぼりにされやすいのです。

ボランティアの多くは、現地に入っているだけに、こうした状況を正確に把握しています。ですから、本当は、ボランティア活動を止めてしまうのは、とても心苦しいものです。それでもなお、止めざるを得ないのは、多くの場合、資金難からです。復興が終わったからではありません。

可能であれば、継続的に復興支援に関わっているボランティアの交通費や宿泊費には、補助金が出てしかるべきところです。一部で、そうした補助金もあるにはありますが、例によって、申請書や報告書などの紙仕事が多く、使いにくいというのが現実です。

何事もそうなのですが、公的な資金の利用に関しては、日本の紙仕事は多すぎます。そうした紙仕事にもまた、人件費が発生するという認識がないのかもしれません。もちろん、しっかりとフォローをしないと、大切な資金が不正に使われてしまうという懸念もわかります。

しかし、一部の不正のために、全体の効率が下がるのは、受け入れられません。現実に、東日本大震災からの復興のために全世界から集められた資金は、今も一部で余っていると聞きます。東日本大震災からの教訓の一つとして、ボランティア活動を継続させるための資金の流れについて、今一度考えておくべきところでしょう。

※参考文献
・神戸新聞NEXT, 『被災高齢者向け健康塾 県立大生ら活動一区切り』, 2017年3月5日

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