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天皇・皇后両陛下がベトナムをご訪問 ベトナム人の介護福祉士候補生らと交流される

天皇・皇后両陛下がベトナムをご訪問

天皇・皇后両陛下がベトナムをご訪問中

天皇・皇后両陛下は、現在、ベトナムをご訪問中です。両陛下がベトナムを訪れるのは初めてとのことで、歓迎式典や晩餐会などの様子がメディアを賑わせています。この晩餐会での天皇陛下のお言葉を、NHK NEWS WEB が伝えています(2017年3月1日)。その中から、以下、介護に関するご発言部分を引用します。

1973年に日越両国の外交関係が樹立されてから既に40余年、その間、両国の交流はますます拡大し、現在我が国には、約18万人のベトナム人が留学生、技能実習生などとして滞在しています。その中には将来、我が国で看護師、介護福祉士として活躍することを目指して、病院や福祉施設で働きながら研修をしている約500名の人たちもあります。明日、文廟において日本に留学していた人たちを始め、日越両国の交流に携わる人たちとの会合の機会を持つこととなっており、楽しみにしております。

晩餐会でのお言葉どおり、天皇・皇后両陛下は、将来的に日本で働くことを想定している24名の介護福祉士の候補生とも交流されています。こうしたベトナム人の候補生たちは、経済連携協定(EPA)にのっとって、日本の介護における重要な戦力となるべく、トレーニングを受けてきました。

介護現場における外国人労働力の拡大

介護現場で働く介護職が大幅に不足しているという現実は、これまで、KAIGO LAB でも取り上げてきたとおりです。その現実を受けて、これまで、経済連携協定(EPA)の範囲内に限定されていた外国人労働者の受け入れが緩和されようとしています。

新たに国会を通過した法案(出入国管理・難民認定法の改正案)では、介護福祉士の資格を持っていれば、外国人に対して在留資格を出すことになっています。これにより、とくに介護の現場では、外国人労働者が大幅に増加することが予想されます。

外国人からすれば、とにかく介護福祉士を取得してさえいれば、日本における在留資格が得られるわけです。やや乱暴な話ではありますが、日本の介護現場における人手不足は、すでに深刻な状況にあり、こうした対応もいたしかたなしというのが正直なところでしょう。

今後想定される問題と、それへの対応に関して

こうした大きな変化があるところでは、当然、問題も発生してきます。日本の象徴である天皇陛下が、こうしてお言葉を述べられた以上、こうした問題は、国家の威信をかけて、必ず解決していかないとなりません。以下、今後想定される問題と、それへの対応に関して、簡単にまとめてみます。

1. 指導者の立場にある介護職が苦労する

日本の介護現場において、外国人の介護福祉士を指導することは、日本人の介護福祉士を指導することとは違った苦労があります。日本語が完璧ではないことや、文化的な違いがあることはもちろんです。外国人労働者からすれば、雇用条件のより良いところを探すのも当然ですから、いまよりも離職の問題も増えるでしょう。こうした新たな環境に適応しながらの指導が求められる介護職には、より優れたマネジメント能力が求められます。場合によっては、英語などの語学力もないと務まらないかもしれません。こうした問題に対応するには、指導者となる介護職の教育が必須です。この点において、国はしっかりと責任をもって推進すべきでしょう。

2. 不当な労働条件での雇用が発生する

すでに他の産業では発生していることですが、日本の労働法に疎い外国人労働者を「不当な条件」で雇用する介護事業者も出てくるでしょう。しかし、天皇陛下が期待を表明され、その期待に応えるべく来日してくれる外国人労働者が、そのような「不当な条件」で働かされるようなことがあってはなりません。とくに自治体には、介護現場で働く外国人労働者の労働条件についてチェックをし、そこに違法な状態があれば即座に介護事業者を罰するような体制が求められます。また、日本介護福祉士会としても、外国人の介護福祉士の権利を守るべく、団体としての意見表明を行い、他言語対応できる窓口の設置などが必要になります。そのための財源については、国が考える必要もあるでしょう。

3. 外国人が使い捨てられて帰国していく

日本の介護現場がグローバル化することは、将来、日本の介護が輸出産業になるためにも大事なことです。こうして、日本の介護現場を経験している外国人の介護福祉士が増えていくことは、日本の将来にとって有利になる可能性があります。しかし、日本の介護現場には、そうしたマクロな視点で動けるような余裕はありません。現実として、介護事業者の倒産は、毎年、最悪を記録するような状態が続いています。こうした現場では、人材の使い捨てとしか言えないようなケースも散見されています。しかしそれは、介護事業者の責任というよりもむしろ、介護保健における介護報酬のあり方に起因しているところも大きいのです。国には、将来を考える責任がありますから、外国人の介護福祉士が増えていくことをチャンスとして、外国人を採用し教育する介護事業者に手当てを出すといった対応が求められます。

※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『ベトナム公式訪問の天皇陛下 晩さん会でお言葉』, 2017年3月1日
・TBS News, 『ベトナム訪問中の両陛下、介護福祉士候補生らと懇談』, 2017年3月3日

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