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【東日本大震災から6年】災害介護のインフラ構築における介護福祉士の意味を考える

【東日本大震災から6年】災害介護のインフラ構築における介護福祉士教育の意味を考える

日本は地震の多い国であるという認識が必要

東日本大震災から、今日で6年が経過したことになります。メディアを通してみる被災地は、復興も進んでいるように感じられるかもしれません。しかし、復興にも二極化が顕在化しており、格差が広がっています。

そもそも世界的に見ると、マグニチュード6以上の地震の2割が日本で発生しています。日本の国土面積が全世界の0.28%にすぎないことを考えると、これはかなり大きな数字です。あらためて日本は地震の多い国であるという認識が必要なのです。

そうした意味で、日本におけるインフラ設計は、地震をはじめとした災害があることを前提として行われないとなりません。しかし、東日本大震災でも明らかになったとおり、日本のインフラ設計には、まだまだ課題が山積しています。介護という視点からのインフラ設計においても、様々な課題が解決されないまま、現場任せの状態が続いています。

今後は、関東大震災や南海トラフ地震の発生が懸念されています。介護という視点からも、こうした大震災が起こることを前提として、起こった場合にどのように対応するのかについてマニュアル化しつつ、予行演習を繰り返しておく必要があるでしょう。

災害介護に関する教育にヒントがある

国全体としての対応は不十分な状況にありますが、介護教育の現場では、災害介護についての教育がはじまりつつあります。介護福祉士の養成校でもある帯広大谷短期大学(北海道)が、学生向けに実施した防災現地研修の成果が報告されている(小林・佐藤, 2016年)ので、そこから、災害介護について考えてみます。

この防災現地研修は、東日本大震災における復興への取り組みに触れながら、災害時における介護福祉士の役割を理解させることを主眼としています。教育のねらいは、現地における災害対策のあり方を考えて、防災や復興に関する施策を提案する力を養うことでした。

この研修は、限られた人数の学生に対して実施されたものにすぎません。しかし、学生がこの研修から学んだことは、そのまま、災害を前提としたインフラ設計に活かせるものだと思われます。以下、先の報告から、とくにインフラ設計に役立つと考えられる部分を編集しつつ抜き出してみます。

(1)災害時には、介護施設は、地域の福祉避難所・診療所として機能する
(2)介護職も被災し、介護施設もダメージを受けるため、訓練通りにはいかない
(3)多くの死を目撃することになるため、介護職にもメンタルケアが必要となる
(4)その場にあるリソースを活用して、必要となる介護を届けないとならない
(5)その場にあるリソースを活用して、自分自身も、生きるための工夫をしなければならない

介護職の教育を通した人的インフラの構築が急務

インフラ設計ですから、自治体レベルでのマクロな対応は大事です。同時に、この報告からは、現場にいる介護職という個人レベルでのミクロな教育が重要になることがわかります。これはあたりまえの話のようですが、現実には、そこまで手がまわっている介護事業者は少ないでしょう。

ここで、災害時に社会福祉の仕事に求められる能力については(1)捉える力(2)気づく力(3)考える力(4)整理する力(5)まとめる力(6)伝える力(7)振り返る力、の7つであるという意見があります(山本, 2014年)。

しかし、介護職が、こうした能力を獲得していくための具体的なカリキュラムは(まだ)見えていません。しかし、日本が震災大国であるということを再確認しながら、こうしたカリキュラムを設計し、介護福祉士を教育していくことで、人的インフラの構築を進めることが急務でしょう。

※参考文献
・国土技術研究センター, 『国土を知る / 意外と知らない日本の国土』
・小林 聖恵, 佐藤 千恵, 『介護福祉士養成における災害介護教育の方向性の検討 : 防災現地研修に参加した学生の学びから』, 帯広大谷短期大学紀要(53), 57-65, 2016年3月31日
・山本 克彦, 『災害ソーシャルワーク入門/第2章:災害ソーシャルワークの方法』, 中央法規, 2014年

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