閉じる

介護助手の登場が、介護職を本来あるべき姿にする?(ニュースを考える)

介護助手の登場が、介護職の仕事効率化につながる?(ニュースを考える)

介護職は忙しすぎる

要介護者の自立支援を行う介護職は、そもそも、人数的に足りていません。人数的に足りないので、介護職の仕事は激務化します。2025年までには、さらに38万人もの介護職が不足すると予想されています。こうした背景を受けて、介護職のアシスタント的な地位になる介護助手という職種が生まれつつあります。

具体的には、介護施設における配膳や洗濯といった、介護の専門性がなくてもこなせる仕事を行ってもらう職種です。こうした職種があれば、介護職は、要介護者の自立に向き合うための時間が確保できるようになります。以下、毎日新聞の記事(2017年2月12日)より、一部引用します。

介護職員の負担を減らし専門性の高い仕事に専念できるよう、配膳や洗濯などを担う「介護助手」を導入する取り組みが各地で広がっている。2025年には介護人材が約38万人不足するといわれ、元気な高齢者など人材の裾野を広げるとともに、介護分野での定着を図ることが求められている。(中略)

介護助手に法律上の位置付けはない。国の社会保障審議会介護保険部会委員などを務める東憲太郎・全国老人保健施設協会会長が15年秋に三重県の施設で導入した。介護の仕事を細分化し、比較的単純な作業を担う人材を雇用したところ、負担軽減の効果を上げた。看護職にある看護助手にならい「介護助手」と名付けた。(中略)

東京都社会福祉協議会も介護助手の普及の後押しを始めた。昨年末から今年1月にかけて都内6カ所で実施した説明会には100人以上が参加した。最大3日の就業体験後、勤務条件が合えば都内約150の介護施設と雇用契約を結ぶ。(後略)

高齢者が生涯現役であるための職場として

介護助手の仕事は、介護職が本来あるべき姿でいるために、非常に重要な職種となります。しかし、介護助手の仕事の中身は、それほど難易度の高いものではないため、待遇もよくないでしょう。ただ、それほど難易度が高くない仕事だからこそ、ここには大きな可能性もあります。

その可能性とは、一旦現役を退いた高齢者が、再就職する職種になることです。高齢者になると、新しいことを覚えたりするのは億劫になります。また、身体的にも厳しい仕事はこなせなくなります。高齢者には、ある程度、難易度の高くない楽にこなせる仕事が必要なのです。

もちろん、高齢者であっても、非常に高度な仕事をしている人々も多数います。同時に、高度な仕事はもうやりたくないという人々も少なくありません。しかし、現代はどこもかしこも自動化で、高齢者が「これなら、楽にやれる」という仕事を提供してくれる職場が減ってきているのです。

介護予防のためには、社会との関わりが必要であることがわかっています。社会との関わりの中で、もっとも理想的なのは、仕事を持ち続け、生涯現役であることでしょう。社会との関わりがあれば、より元気でいられます。さらに収入があれば、心理的にも安心です。

さらに、高齢者は、若者よりも、高齢者の気持ちがよくわかります。はじめは、気軽にはじめた介護助手の仕事からステップアップして、専門性を持った介護職になっていく高齢者が増えていけば、最高の流れにもなります。

介護助手の仕事は、人工知能に置き換えられてしまうか?

このように、様々な可能性がある介護助手の仕事ですが、将来的には、人工知能に置き換えられてしまうのでしょうか。もし、近い将来、人工知能が代行する仕事であれば、せっかくの可能性も、短期的なものになってしまいます。

しかし、ここについては、それほど大きな心配はいらないと思われます。もちろん、100年後には、ほとんどすべての仕事は、人工知能に置き換えられているのでしょう。ただ、人工知能が、介護助手に期待される仕事のすべてをこなすのは、近未来ではないと考えられます。

その理由は簡単で、人工知能が得意なのは、高度な知的労働だからです。順番としては、医師や弁護士、会計士や税理士のような仕事のほうから先に、人工知能に奪われることになるでしょう。

注意したいのは、社会にとっては、高度な知的労働だけが必要なのではないということです。難易度は低くても、誰かがやらなければいけない仕事もたくさんあります。そうした仕事をこなしてくれる人もいるからこそ、この社会は成立しているのです。

※参考文献
・毎日新聞, 『介護助手 広がる 職員の負担減、ケアに専念』, 2017年2月12日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

介護に強い保険に見直しませんか?