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高齢者による犯罪が増えている。その特徴と動機について。

高齢者による犯罪が増えている。その特徴と動機について。

高齢者による犯罪の数だけでなく発生率も増えている

日本の高齢化率が20%を超えたのは、今から10年以上も前の2005年です。そして、2025年には、これが30%を突破すると考えられています。ほとんど、日本人の3人に1人が高齢者という時代に突入しようとしているのです。

高齢者の数が増えるのですから、高齢者による犯罪が増えるのも、当然です。ただ、恐ろしいのは、高齢者による犯罪の数が増えているだけでなく、犯罪率そのものが増えてしまっているという点です。

高齢者による犯罪の内訳としては、万引を中心とした窃盗が大半を占めています。しかし、凶悪犯罪の犯罪率が上がっているところにも、注意が必要な状態になっています。

日本の高齢者による犯罪の特徴

まず、65歳以上の高齢者を、5歳ごとの段階にわけ、それぞれの犯罪率を見ると、その全ての段階において、犯罪率は上昇してしまっています。このほとんどは、万引き(窃盗:66.0%)とネコババ(占有離脱物横領:22.4%)です。

ただ、殺人、強盗、放火、暴行、傷害、脅迫、恐喝、強制わいせつ、器物破損といった、窃盗以外の、より重たい犯罪の犯罪率も上がってしまっています。とても悲しいことです。

ここで注意したいのは、今の高齢者が生きた時代の社会背景による違いはみられないという事実です。戦前、戦後、高度成長期といった過去の時代背景が、今の高齢者の犯罪傾向とは相関していないということです。となると、これは、現代社会の特徴と言えます。

また、このような高齢者の犯罪率の上昇は、日本と同様に高齢化が進みつつあるアメリカ、ドイツ、スウェーデン、韓国では見られません(一部に上昇が認められるものの、全体としては日本ほどには顕著ではない)。

こうした背景から、現代の日本社会が秘めている何らかの特徴が、高齢者の犯罪率の上昇の原因になっていると考えられるのです。ここについては、もう少し深く考えてみる必要がありそうです。

高齢者による犯罪の動機についての誤解

まず、日本以外の海外における高齢者の犯罪には、薬物濫用やアルコール濫用がその背景にあることが指摘されています。しかし、日本で犯罪を犯してしまう高齢者のうち、99.6%には、薬物濫用やアルコール濫用はありません。

高齢者の犯罪では、その3分の2(65.9%)が、高齢者になってはじめて検挙された、いわゆる初犯です。前科がある高齢者の再犯として記録されるのは、残りの3分の1にすぎません。

また、日本在住の外国人に限ってデータを見てみると、外国人の成人では、高齢者になるほど犯罪率が下がる傾向が認められます。このため、高齢者になるほどに犯罪率が上がってしまうのは、日本人の特徴とも言えるかもしれません。

高齢者の犯行動機については、大事な事実が判明しています。万引きなどの窃盗は、その商品が欲しいという利欲が動機になっています。これに対して、殺人、放火、脅迫、強盗、恐喝、詐欺、住居侵入といったその他の犯罪では経済的困窮が動機になっているのです。

高齢者による犯罪のほとんどが窃盗などですから、一般に言われるように経済的困窮が高齢者の犯罪動機とは言えないのです。欲しいという気持ちが抑えきれずに、生まれてはじめて犯罪に手を染めてしまう高齢者が多数を占めているのです。

欲しいという気持ちが抑えきれなくなるとき

高齢者になると、若いときに比べて、利欲が抑えられなくなる可能性もあります。しかし、それだけでは、高齢者の犯罪について、その数だけでなく率が増えていることの説明にはなりません。

あくまでも仮説ですが、この背景には、年々巧妙になる広告宣伝の手法があるのではないかと思うのです。たとえば、日本の高齢者は、長時間テレビを見ているという特徴があります。毎日、5〜6時間、テレビを見ているのが普通という状態です。

ここで、テレビCMやワイドショーの影響が、高齢者の利欲の刺激に、どの程度影響を与えているのかという点が気になります。あくまでも仮説にすぎないのですが、消費をあおるような広告宣伝の発展は、高齢者の犯罪につながってしまう可能性については、調査研究する必要があると思われます。

俗説ですが、人間がなにかを欲しいと思う気持ちは、15秒がまんすれば、消え去るとも言われます。こうした、高齢者のための自己抑制の方法についても、なんらかの方法で伝えていくことも大切でしょう。

※参考文献
・警視庁, 『高齢者犯罪の特性と犯罪要因に関する調査』, 2013年12月
・法務省, 『高齢犯罪者の実態と処遇』

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