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介護とはなにか(介護の日に寄せて)

介護とはなにか(介護の日に寄せて)

11月11日は「介護の日」です。

毎年、11月11日は「介護の日」です。実は、1が4つも並んでいる目立つ日なので、そもそも記念日に設定されやすい日でもあります。たとえば「介護の日」以外にも、1111という見た目から「もやしの日」、「麺の日」、「ポッキーの日」、「チンアナゴの日」としても設定されています。

「介護の日」としての11月11日前後には、全国各地で介護関連のイベントが開催されています。規模も大小様々ですが、共通しているのは、介護についての理解を深め、多くの人により関心を持ってもらいたいという意思が背景にあることでしょう。

介護は、直接それに関連していないと、なかなかイメージのつきにくいものです。しかし、いつかは誰もが、介護をする側になったり、される側になったりするのです。介護は、誰の人生にも共通して起こるイベントという認識が必要であり、大切な社会福祉の一つとして、みんなで考えていくべきテーマでもあります。

介護にネガティブな印象がありますか?

まだ、介護に関わりの浅い人や、そもそも介護にまったく関わっていない人も多数います。そうした人にとって、介護とは「できれば関わりたくないこと」だと思われます。しかし、そうしたネガティブな印象だけで介護をとらえてしまうと、介護に関する知識を吸収したいという気持ちにもならないでしょう。

では、介護とは、ポジティブなものでしょうか。現実の介護をみていると、とてもそんな気持ちにはなれないのも事実です。ですが、介護の現場にいる人々は、特に、介護職といわれる介護のプロたちは、そこにポジティブな感覚を持っています。介護職は、介護は社会的に意義のある仕事だと、誇りを持っています。

こうした介護職が考えていることを理解すれば、介護に対する印象も変わってくると思います。病気にネガティブな印象があっても、医療にネガティブな印象がないのと似ています。心身に障害を持つことにネガティブな印象があるからといって、介護にもネガティブな印象を持つのはおかしなことなのです。

自立という言葉の意味について考えてみる

自立という言葉は、世間一般においては「他者の援助を受けないで、自分の力で身を立てること」といった意味で用いられているものです。しかし、健康に問題のない多くの大人は、そもそも自立できているので、それについて深く考えることはありません。

心身ともに健康で、元気に仕事をしている人にとって自立とは「きちんと仕事をして、親に頼らずに自分で生計を立てること」といった意味しか持たないことがほとんどです。ですが、心身になんらかの障害をかかえ、介護が必要な状態になると、自立の意味を真剣に考えるようになります。

まず、介護が必要な状態になると、他者の援助を受けないで生活することは困難になります。場合によっては、それまで行ってきた仕事も続けられなくなり、自分で自分の生計を立てることも難しくなる場合もあります。では、こうした状態になったら、自立していないということになるのでしょうか?

たとえば、メガネについて考えてみてください。視力が悪くても、メガネがあれば、問題なく仕事を続け、金銭的にも自立した生活が営める人は少なくありません。この場合、メガネを設計・製造してくれている他者からの援助を受けていると考えることもできます。メガネというのも、ある種の介護器具なのです。

メガネという他者からの援助を受けているからといって、その人は自立していないということにはならないでしょう。同様にして、車椅子を使っていても、松葉杖をついていても、それだけで、その人は自立していないということにはなりません。

介護とはなにか

社会福祉の領域は、長年、この「自立とはなにか」という問いと向き合ってきました。その歴史的な積み上げを踏まえ、現在の社会福祉においては、自立を「自己決定に基づいて主体的な生活を営むこと」、「障害を持っていてもその能力を活用して社会活動に参加すること」と定義しています(厚生労働省)。

そして介護とは、こうした自立を支援する活動なのです。心身に障害をおった人が、少しでも自立した状態に近づけることを支援するのが、介護なのです。ここから、介護を「それがあることによって自立が進むモノやコト」と定義することも可能です。

介護との関わりが深くない段階では、手すりを手配したり、車椅子を押したり、排泄や入浴を手伝ったりすることが介護であると誤解しがちです。しかし、介護とは、相手の自立を支援する一連の活動のことであって、個別的な手助けのことではないのです。

英語では、介護のことを「ケア(care)」と言います。しかし日本では、介護という言葉は「ケア」という言葉よりも狭い解釈を与えられてしまうことが多いようです。介護に関する誤解は、ここから生まれているようにも思います。

介護という言葉がもっている本来の「ケア」という意味において、それは、介護者である家族や介護職だけが行っているものではありません。この社会においては、誰もが、誰かの自立を「ケア」しているわけです。自分自身も、広い意味では、誰かの介護を受けているとも考えられます。

そのように考えたとき、介護というのは、個々の自立のための共助(助け合い)のことを指している言葉であることに気づくと思います。介護とは、心身に大きな障害を持ってしまった人とその周辺だけに必要な概念ではありません。『女神クーラの神話』にあるとおり、人間社会の根底に流れる人類普遍の概念なのです。

※参考文献
・厚生労働省, 『自立の概念等について』, 2004年

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