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生活保護世帯が過去最多を更新。うち、高齢者が全体の過半数を占める(ニュースを考える)

生活保護世帯が過去最多を更新。うち、高齢者が全体の過半数を占める

生活保護世帯が過去最多を更新

厚生労働省によれば、日本で生活保護を受けている世帯は、163万6,636世帯(2016年8月時点)となったそうです。これは、生活保護の統計を取り始めた1951年以降、最多となっています。残念ですが、この数字は、まだまだ増加していくと考えられています。

見過ごせないのは、母子世帯などを含む他の世帯では、生活保護の受給が減っているということです。唯一、増えているのが高齢者世帯(65歳以上の高齢者がいる世帯)で、これが全体の数字を押し上げてしまっています。生活保護を受けている高齢者世帯は、83万4,621世帯であり、これだけで全体の過半数を超えてしまっているのです。

高齢者世帯の数自体も、年々増え続けています。一番新しい2014年のデータでみると、高齢者世帯の数は約2,357万世帯と、全世帯(5,043万世帯)の46.7%を占めています。この割合は、今後も上昇していくことが予想されています。

高齢者世帯の家計だけが厳しい状態なのだろうか

調査されている年が違うので、あくまでも概算になりますが、生活保護の受給率で考えてみます。まず、高齢者世帯だけで考えると、生活保護の受給率は約3.5%になります。全ての高齢者世帯のうち、約3.5%の世帯が、生活保護を受けているという意味です。

これを、高齢者世帯以外の世帯で計算してみると、生活保護の受給率は約3%であることがわかります。この数字は、高齢者世帯と比較して、それほど良いものではありません。0.5%しか違わないのですから。

このように割合から考えると、いかに生活保護を受けている高齢者世帯の数が多く見えても、それだけで高齢者世帯の家計が特別に厳しいということにはなりません。ただ、高齢者世帯の数自体が多いので、ここが目立ってしまうということです。

今後のことを考えるとかなり厳しい

ただし、今のところ約3.5%という高齢者世帯による生活保護の受給率は、今後は、高まっていく可能性があります。なぜなら、貯蓄額が500万円以下という高齢者世帯が、すでに43.5%にもなるからです(うち、貯蓄額がゼロという高齢者世帯は16.8%)。

年金だけで生きていけるような人はとても少ないので、この、500万円以下という貯蓄が底をつきるのは時間の問題です。そうなると、高齢者世帯の生活保護の受給率は、今の約3.5%という数字では止まらない可能性が高いでしょう。

また、貯蓄が足りていなくても、アルバイトなどで、今はなんとか生活している高齢者世帯も多いでしょう。しかし、今後のロボットや人工知能の台頭による働き口の減少を考えると、ここも必ず厳しくなっていきます。

この上さらに、年金の支給額が減額されたり、支給年齢が上がったりもしていきます。年金制度は「長く働くほど得をする仕組み」へと改革されると言いますが、そもそも、高齢者を積極的に雇用するという経営者は(ほとんど)いないはずです。

どう考えても、今後は、高齢者世帯の生活保護の受給率は上がり、さらに、高齢者世帯の数も増えるので、生活保護の財源問題が深刻化していくことになります。やはり、ベーシックインカムの導入などを検討すべき段階にきていると思われます。

※参考文献
・厚生労働省, 『生活保護の被保護者調査(平成28年8月分概数)の結果を公表します』, 2016年11月2日
・常陽銀行, 『年代別貯金総額の平均と毎月の貯金額目安』, 2015年4月21日

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