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介護現場の外国人を大幅に増やす法案が可決へ。資格を持つ外国人に在留資格(ニュースを考える)

介護現場の外国人を大幅に増やす法案が可決へ

自民、公明、民進などの賛成多数で可決

介護福祉士の資格を持つ外国人に対して、在留資格を出すという法案(出入国管理・難民認定法の改正案)が、自民、公明、民進などの賛成多数で可決しました。これから1年以内での施行が決まっています。

外国人の介護現場への配置は、これまでも、経済連携協定(EPA)の範囲内で、限定的に認められてきました。しかし、今回の法改正では、この経済連携協定(EPA)の範囲を大きく超えて、多数の外国人が、日本の介護現場で働けるようになります。

2025年には、要介護認定される高齢者は3割以上増えて、600万人を超えると予想されています。これに合わせて、介護の現場で働く介護職は約40万人も不足すると言われています。今回の法改正は、こうした介護職の不足を受けて、労働力を海外から輸入しようという試みです。

そもそも介護職が不足している根本原因

介護職が足りていないというのは、ずっと以前から指摘されてきています。高齢者の中には、介護職がいないと、生きていけない人も多数います。このため、介護職の不足が原因で、地域の過疎化が加速するという現象も見られはじめています。

では、そもそもなぜ、日本では介護職が不足しているのでしょう。精神的にも肉体的にも厳しい仕事で、人間関係も複雑化しやすいといった要因も挙げられますが、なによりも最も大きいのは、介護職の待遇の悪さです。

介護職の待遇は、年収ベースでいうと、全産業平均よりも100万円以上も安く、毎月の手取りが20万円を切るようなレベルです。夜勤手当を含めても、このレベルの待遇では、結婚や出産をあきらめなくてはならないケースも出てきます。

待遇が改善されないまま競争の激化が進む

たしかに、介護職の待遇改善に向けた議論も進められています。しかし、実際に改善されているのは、春闘による全産業の賃金上昇よりも低いのです(2015年実績で、介護職6,000円、春闘7,497円)。全産業平均に近づくどころか、かえって格差が広がっているというのが現実なのです。

今後の見通しとしては、外国人の介護職が増えていくことによって、介護現場からは日本人が減っていくでしょう。低い待遇が改善されないまま、雇用をめぐる争いが激化するとなれば、とてもやりきれないからです。

外国人からしても、厳しい仕事の対価が、手取り20万円以下という状況には満足できないはずです。短期的には、介護業界の人材不足は改善するかもしれませんが、本質的に、仕事内容に見合った待遇が実現できていないのですから、いずれは外国人も離れていくことになります。

これまで KAIGO LAB でも指摘してきたとおり、この問題の根本的な解決は、国の税金の使い方を根底から考え直すことです。その上で、デンマークのように、介護職を公務員として、待遇の改善をはかることを検討すべきだと思います。

※参考文献
・日本経済新聞, 『介護職の外国人に在留資格 衆院委で法案可決』, 2016年10月21日

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