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要支援1〜2を扱う介護事業者が半減する?サービスを受けたくても受けられない時代へ(ニュースを考える)

要支援1〜2を扱う介護事業者が半減する?サービスを受けたくても受けられない時代へ

要支援1〜2を扱う介護事業者が半減する?

財源の問題から、要支援1や要支援2などの、いわゆる軽度介護に対応するときの、介護事業者に対する介護報酬は、減額されています。そして、新しく決まった、より低い報酬の介護サービスに参入する事業者が激減していることがわかりました。当たり前ですね。

毎日新聞が、全国157の自治体を対象に行った調査では、新報酬での介護サービスに参入する事業者は、従来の報酬でサービス提供していた事業者の5割未満にとどまるそうです。毎日新聞の記事(2016年10月1日)より、以下、一部引用します。

軽度(要支援1、2)の介護保険利用者に対する訪問介護とデイサービスで、低報酬にした新方式の介護サービスに参入する事業所数が、従来の報酬でサービス提供していた事業所の5割未満にとどまることが、毎日新聞による全国157自治体調査でわかった。

新方式は事業所への報酬を下げるのが原則で、それまでサービスを提供していた事業所が「採算がとれない」と参入を見送っている。今後は要介護1と2の訪問介護も低報酬の新方式となる可能性が高く、軽度の人たちが受け皿不足で必要なサービスを受けられない事態が懸念される。(中略)

すでに低報酬型の基準を決めた市など157の先行自治体に聞いたところ、報酬は平均して2割減に設定されていた。手を挙げた事業所は訪問介護で50%弱、デイサービスでわずか30%弱だった。

介護事業者と、そこで働く従業員にばかりしわ寄せが行っている

2015年の改定で、介護報酬は9年ぶりに引き下げられました。全体で2.27%の引き下げです。介護報酬が下がるということは、普通に考えれば介護職に支払われる賃金も下がるということです。

たしかに、介護職員の処遇改善に取り組んだ事業所の介護報酬を増やすなど、政府としても、ここを問題視してはいます。しかし、実際の賃上げは、目標だった12,000円に届かず6,000円程度と、狙いの半額で、これは春闘の賃上げ平均である7,497円を下回っています。

要支援1〜2のレベルは、介護保険制度の中では、もっとも要介護状態が低い区分です。介護サービスを受けるというよりは、介護予防サービスが受けられるイメージです。とはいえ、要支援1〜2であれば、立ち上がりや起き上がり、片足での立位、買い物などに何らかの支障がある状態です。

たしかに要介護度がもっとも高い要介護5などと比べれば、介護の負担は軽いのかもしれません。それでも、現在約110万人いるという要支援者にとっては、介護サービスがあるとないとでは大違いです。

今回の低報酬化により、多くの事業所が軽度者向けの介護サービスから撤退してしまうと、要支援者の受け皿が足りなくなります。今まで受けていたサービスが受けられなくなる人も出てきます。さらに今後、こうした低報酬化は、要介護1〜2にまで拡大される可能性が高くなっています(生活援助ではそれがほぼ決まっています)。

熟練の介護職を排除し、無資格者を増やそうという流れ

介護職の賃金が下がるということは、介護職を目指す人が減ってしまうことにつながります。せっかく国家試験を受けて、頑張って資格をとったにも関わらず、低報酬化してしまえば、目指そうという気もうせてしまいます。ただでさえ足りていない介護職は、また減ってしまいます。

政府は介護職が足りないという問題への対策として、事業所で働く介護職の人材要件を緩和する対策をとっています。その対策の一つが、事業所に占める、資格を持った介護専門職の割合を減らすというものです。

たしかに、誰でも介護職を目指しやすくなれば、介護人材の不足を改善できるかもしれません。特に、まだ働き盛りであるにも関わらず、定年退職を余儀なくされた高齢者や、子育てが一段落した人が、活躍する場になるかもしれません。

しかし、こうして無資格の介護職が増えていけば、確実に介護サービスの質は下がります。介護職に求められる専門知識が、どんどん高度化してきているという背景と合わせて考えると、どうしても無理があると言わざるをえません。

これから増え続ける高齢者の数を考えれば、施設が足りなくなり、在宅でのケアを余儀なくされる高齢者が増えてしまうのは仕方ありません。いかに自分の身を自分で管理し、在宅でケアをしていくかを考えるのは、非常に重要です。

しかし、低報酬の問題で、いざ介護が必要になったときに、サービスを提供する事業者がいなくなってしまうのは問題です。介護職の公務員化など、介護報酬を引き下げずに、介護事業者が、より健全な経営ができるように、なんとか財源を確保する必要があります。

※参考文献
・毎日新聞, 『軽度向け事業所半減 報酬減で採算懸念』, 2016年10月1日

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