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介護保険料の支払い拡大へ。40歳未満の納入義務化が議論される(ニュースを考える)

介護保険料の支払い拡大へ

介護保険を維持するための財源が足りない

現在、毎年約10兆円かかっている介護保険の財源が、2025年には約20兆円と2倍にふくらむことが予測されています。背景には、高齢者が増え、平均寿命も伸びることから、要介護者も急速に増えるということがあります。それを見越して、現在、介護保険制度の改悪が進んでいます。

たとえば『2025年問題の核心(介護と医療の崩壊)』でも詳しくとりあげましたが、こうした改悪は、もはや避けられない状態です。どこかに他の財源はないのか、という議論も、ほとんど出尽くされています。どうしても、足りないのです。

そうした中、当然予想できたことですが、現在は40歳以上から徴収されている介護保険料が、今後は、40歳未満の若手世代にも課せられる方向での議論がはじめられました。以下、NHK NEWS WEBの記事(2016年8月31日)より、一部引用します。

急速な高齢化による介護費用の増加によって、この先、介護保険制度を維持するのが難しくなるとして、厚生労働省は、介護保険料を負担する対象を、現在の40歳以上から、収入のあるすべての人に拡大することについて、学識経験者などを交えて具体的に検討を進める方針を固めました。

介護保険制度では、介護サービスの費用は、利用する際の自己負担を除いて、税金や保険料などで賄われます。保険料の負担対象は現在40歳以上で、ひと月の平均で64歳までが5352円、65歳以上は5514円となっています。しかし、急速な高齢化によって、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年度には、介護費用が今のおよそ2倍の21兆円に上ると推計されています。

介護と医療に関心を持たないと、自分の未来がなくなる

仮に、介護保険料の徴収を40歳未満からも行ったとします。それで、現在、介護が必要な人々の状態は(少しは)よくなるでしょう。しかし、そうしてお金を支払った40歳未満の人々が高齢者になり、自分に介護が必要となったとき、同じだけのサービスは受けられません。

これは、現役世代が、自分たちの未来を犠牲にして、高齢者世代を支援するということです。これは、介護だけでなく、医療についても同じことです。財源がないから、現役世代に負担させるというのは、もはや限界だと思います。かといって、今の高齢者世代の課題を見過ごすこともできません。

ここで、厚生労働省を批判してもはじまりません。彼ら/彼女らは、優秀で真面目な人々です。ただ、そうした人々の能力と努力をもってしても、今の制度は維持できないという限界点にまで到達してしまっているというところが、本当の問題なのです。制度そのものを改革するには、政治の力が必要です。

心理学的には、正常性バイアスと呼ばれる現象ですが、私たち人間は、来たるべき未来への正しい準備というのが苦手です。自分にとって何らかの被害が予想されたとしても、自分に都合の悪い事実を無視し「自分だけは大丈夫」と考えてしまうのが人間です。

しかし、今、介護と医療に関心をもって、政治に働きかけていかないと、現役世代の未来は悲惨なことになります。いちど、40歳未満からの介護保険料の徴収がはじまれば、次に起こるのは、こうして徴収される金額の上昇です。そこまでは、もはや止められないかもしれません。

投票に行き、政治家を評価し、自らも活動しよう

現役世代の未来まで考えた、新しい介護保険制度を構築する必要があります。そのためには、私たち一人ひとりが、介護と医療に関心を持ち、その分野に詳しい政治家を生み出していかないとなりません。

どの政治家も、口では介護と医療について言及をしています。そうした中で、誰が本当に、本気でここの改革を行う気持ちと能力を兼ね備えているのか、判断していかないとなりません。気持ちだけでは不十分ですし、また、能力だけでもダメです。

同時に、政治家という他人の活躍(ヒーローの出現)に期待するだけでは難しいのも現実です。介護保険制度に改革があったとしても、財源そのものが劇的に増えるわけではありません。自助努力が求められるのは、避けられません。

※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『介護保険料の負担対象 厚労省 拡大を検討へ』, 2016年8月31日

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