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高齢者が求めているのは「幸せ」よりも「お金」という結果について(ニュースを考える)

高齢者が求めているもの

博報堂生活総合研究所の高齢者調査

博報堂生活総合研究所は、30年間にわたり、日本の60歳~74歳を対象とした調査を行っています。この調査結果として、調査開始の1986年と、今年2016年の間に、どのような意識変化があったのかについての分析が面白いです。

「先の見通しは暗いと思う」:1986年=32%、2016年=47%(+15%)

将来を悲観する高齢者の割合は、この30年で15%も増えており、過半数に届きそうな勢いです。統計的には、貯蓄額が1,000万円以下の高齢者世帯は、全体の57.9%になることが別の調査からわかっており、そもそも、過半数の高齢者が、将来に対する蓄えが足りていないのです。見通しが暗いのも、仕方がないことでしょう。現実には、多くの高齢者が、生活保護を必要とする未来が見えています。

1カ月のお小遣い:1986年=28,830円、2016年=26,820円(-2,010円)

家系的に厳しいからでしょう。毎月のお小遣いも、ついに30年前の水準を下回ることになっています。お小遣いが少ないということは、1人あたりの高齢者が使えるお金が減っているということではあります。しかし、高齢者の数が増えているので、高齢者の市場自体は大きくなっているでしょう。高齢者向けに「安くて良いもの」が作れれば、ビジネスにはなります。

現在欲しいもの「お金」:1986年=28%、2016年=41%(+13%)

こうした状況ですから「お金」が欲しいと考えている高齢者が多いことも理解できます。30年前よりも13%も多い割合で「お金」を求める高齢者がいます。これを逆から読めば、働ける機会があれば仕事をしたいと考えている高齢者も多いということです。放置しておけば、生活保護の受給者が増え、社会保険の財源が痛みます。それよりも、貯蓄が足りていない高齢者に働いてもらって、社会保険に依存するのではなく、むしろ納税者として頑張ってもらうほうがよいでしょう。

現在欲しいもの「幸せ」:1986年=31%、2016年=16%(-15%)

「幸せ」という抽象的なものを求める余裕もまた、なくなってしまっているようです。30年の間に「幸せ」を求める高齢者は、約半分に減っています。「幸せ」は十分にあるという意味であれば嬉しいのですが、現実には、そうした抽象的なものよりも「お金」が欲しいと考えている、余裕のない高齢者が増えていると見たほうがよさそうです。なんとか、生涯現役でいられるような、そうした職場が増えていくことを願うばかりです。

「子どもといつまでも一緒に暮らしていたい」:1996年=51%、2016年=28%(-23%)

金銭的に厳しい状況にはあっても、子供の迷惑にはなりたくないという高齢者が多いのは救いです。自分でなんとかしたい、生涯現役でいたいという高齢者の気概は、それを支援する側からすれば、非常にありがたいものでもあります。寄り掛かろうとする人は救えないのですが、自立しようとする人の支援はやれるからです。なんとか、こうした気持ちを資源として、それを活かす環境を整えていきたいものです。

※参考文献
・博報堂生活総合研究所, 『「シルバー30年変化」調査結果を発表』, 2016年6月24日

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