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史上最高に暑い夏を乗り切る!インターバル速歩で熱中症対策を!

インターバル速歩で熱中症対策を!

今年は史上最高に暑い夏になる?!

NASA(アメリカ航空宇宙局)の発表によると、今年(2016年)4月の世界の気温と海水温が、観測史上最高になったそうです。このまま推移すれば、2016年の年間平均気温も、記録を更新する可能性が高くなります。私たちは、あと1、2ヶ月のうちに「史上最高に暑い夏」に備える必要があるのです。そしてすでに、この影響が出始めているようです。

関東の水がめ(ダム)の貯水率が、どんどん下がっています。利根川水系の8つのダムの貯水率は、なんと38%まで下がっているのです。例年であれば梅雨の時期には80%ぐらいの貯水率なので、すでに半分以下になってしまっているということです。なかでも群馬県の矢木沢ダムにおける貯水率は10%となっています。関東地方整備局では、この状況を受け、10%の取水制限を始めました。

水も心配なのですが、高齢者という文脈で考えると、こうした暑い夏で特に気をつけたいのが熱中症です。2015年の夏(5〜9月まで)のデータによれば、熱中症で救急搬送される人を年代別にみてみると、高齢者(65歳以上)が2万8,016人(50.2%)と全体の半数以上を占めています。2008年の調査開始以来はじめて、高齢者の割合が50%を超えてしまったのです。

高齢者を悩ませる熱中症問題

熱中症は、高温多湿の環境下で働いたり、激しいスポーツを行ったりした時に起こる症状であると考えられてきました。しかし近年では、自宅に居ながらにして熱中症で亡くなってしまうケースが後を絶ちません。猛暑だとされた2010年には、1,745人が熱中症で死亡しました。残念ながら、そのうちの80%が、65歳以上の高齢者でした。

わたしたち人間は、カエルやヘビといった変温動物とは違い、環境の温度によらず、体温が一定に保たれる恒温動物です。「今日はちょっと暑いから、体温を34度に設定しよう」ということはできません。暑ければ、皮膚の温度センサーがそれを感知し、発汗することにより、体から熱を逃がそうとします。この働きのおかげで、気温が暑い環境にあっても、人間は体温を維持することができるのです。

高齢者が自宅に居ながらにして、熱中症の犠牲になってしまう理由はいくつか考えられます。冷え嫌いや、極度の節電意識のせいで、クーラーを使いたがらないということもよくいわれますが、これだけではありません。以下、その理由について、以下、もう少し詳しく考えてみます。

理由1. 皮膚の温度センサーの働きが悪くなっている

老化によって、皮膚の温度センサーの働きが悪くなります。つまり、本当は暑いのに、暑いことに気が付きにくくなっているのです。特に、認知症のある高齢者の場合は、この傾向が顕著になります。周囲の気温が高まっていることに気づかないということは、クーラーを使ったり、水分をとったりするといった意識的な熱中症対策ができないというだけではありません。無意識的にも、発汗によって体温を下げようとする活動が起こりにくいため、熱中症のリスクが高まるのです。

理由2. 発汗による体温調節の機能も衰えている

若いころは運動で体が熱くなると、すぐに顔も赤く火照って、皮膚表面から汗を出すことができます。しかし、高齢者の場合は、この発汗機能が衰えており、うまく熱を逃がすことができません。同時に、高齢者の場合は、加齢による腎臓の機能低下によって、老廃物の排泄のために、尿の量が多くなります。汗として使いたい水分が、尿として排泄されてしまっているため、ここで汗をかくと脱水状態になりやすいのです。

理由3. 水分の貯蔵庫である筋肉が減少している

実は、人間の体内において水分を蓄えているのは筋肉です。当然ですが、高齢者になると、通常は筋肉の量が減っています。このため、高齢者は、体内に蓄えていられる水分量も減っているのです。実際に、65歳未満の成人で体重の60%を占める体液は、高齢者では50%にまで減少していると言われます。ただでさえ、体内の水分が減っている高齢者は、65歳未満の成人よりも脱水状態になりやすいということです。

熱中症に強くなるための「インターバル速歩」をはじめよう!

高齢者の寝たきりリスクを下げ、熱中症対策にもなる「インターバル速歩(そくほ)」という運動法に注目が集まっています。この「インターバル速歩」は、信州大学大学院医学系研究科の能勢博教授らの実証実験(10年以上の期間、約6,200人を対象に行われた)によって考案された、特に高齢者に特化されたトレーニング方法です(もちろん高齢者以外でも効果があると考えられます)。

「インターバル速歩」とは、ややキツイと感じる「早歩き」と「ゆっくり歩き」を3分ずつ、交互に行うものです。「ややキツイ」というのは、息がはずみ、動悸がする程度のペースです。1日に30分以上、つまり6分を1セットとして、5回これを繰り返すことが望ましいとされています。これを週に4日以上、合計で120分以上取り組めると理想的です。

ずっと「早歩き」だけにすると、長持ちせず、思わぬケガを引き起こすこともあり、結果的に効果が薄れてしまいますので「早歩き」と「ゆっくり歩き」を交互に繰り返すことがポイントです。この「インターバル速歩」により、筋肉が増えるだけでなく、肥満、高血糖や高血圧が改善することもわかっています。

「インターバル速歩」を続けて2週間もすれば、体が気温の暑い環境にも順応していくそうです。つまり、先に述べた高齢者が熱中症になりやすい理由の1〜3が改善するのです。「インターバル速歩」は、こうした身体の機能回復において、短い期間でもそれなりの効果を発揮するのです。

もちろん、普段から運動をしていない人の場合は、無理をしないで可能なレベルからはじめるべきでしょう。また、なかなか続けられない場合は、2人以上で会話をしながらの「インターバル速歩」を試みるとよいかもしれません。

「インターバル速歩」の後30分以内に牛乳(乳製品)を飲むと効果的

「インターバル速歩」の後で、牛乳を飲んだ人とそうでない人の間では、筋肉の増加量に2倍もの差がうまれたという実験結果があります。これは、牛乳に含まれるアミノ酸が、筋肉をつくるためのアミノ酸として最適(アミノ酸スコア=100点)だからです。

筋肉ができるときのメカニズムは(Step 1)運動によって筋肉に小さい損傷が起こる(Step 2)それを修復しようとして筋肉がアミノ酸を取り込む(Step 3)取り込むときに筋肉が強化される、というものです。ここで(Step 2)のタイミングに合わせて牛乳を飲むと効果的だということです。これが、運動後30分以内ということには注意が必要で、そのタイミングを逃さないことが大事です。

また、牛乳には骨をつくるためのカルシウムも多く含まれており、骨粗鬆症の予防にもなるという研究結果が多く報告されています。そうした意味で、専門家の間では、牛乳の可能性はとても大きいと考えられています。

それでも、牛乳が苦手という人がいることも事実です。そうした場合は、牛乳を温めて、少しずつゆっくり飲むと大丈夫ということもあるようです。どうしてもダメであれば、ヨーグルトやチーズといった乳製品でも、牛乳を飲むのと近い効果が期待できるため、他の乳製品の摂取を考えてみてください。

※参考文献
・総務省消防庁, 『平成27年の熱中症による救急搬送状況』, 平成27年10月16日
・環境省, 『熱中症 環境保健マニュアル2014』, 平成26年3月改訂
・髙瀬義昌(監修), 『防ごう!! 守ろう!!高齢者の脱水』, 健康と良い友だち社, 2010年
・NPO法人熟年体育大学リサーチセンター, 『インターバル速歩とは?』, 2007‐2016年
・公益財団法人 骨粗鬆症財団, 『牛乳を飲んでも大丈夫?』

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