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日本版CCRC構想とは;日本の介護問題と地域活性化を同時に解決するホームランになるか?

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CCRCってなあに?

CCRCとは、アメリカで発展してきている「Continuing Care Retirement Community」の略称です。高齢者が、健康なときから介護が必要になる時まで、一貫して継続的なケアが受けられることが保証されているコミュニティーのことを指しています。アメリカには、すでに約2,000カ所(居住者推定75万人)に、このCCRCがあるそうです。

地方自治体に対する2015年の調査では、日本版CCRCを推進する意向が「ある」と回答したのは11.3%、「ない」は11.1%、「今後考える」が最も多くて77.6%となりました。自分の住んでいる自治体が「ある」と回答している場合、知っておくべき概念でしょう。

日本版CCRC構想とは

東京圏では、急速な高齢化にともない、介護施設も、介護事業者も、介護人材も足りていません。これを放置すれば、介護人材として地方から東京圏に対して労働力となる人材が流出してしまう恐れがあります。地方としても、これ以上、人材の流出は避けなければなりません。

そこで、逆に東京圏から、高齢者を地方に移住させ、地方での雇用確保や経済振興に役立てようという発想が生まれました。それが、日本版CCRC構想の根幹です。以下、首相官邸HPに掲載されている資料から引用してみます。

日本版CCRC構想は、「東京圏をはじめとする高齢者が、自らの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域づくり」を目指すものである。

本構想の意義としては、①高齢者の希望の実現、②地方へのひとの流れの推進、③東京圏の高齢化問題への対応、の3つの点があげられる。

従来の介護施設とCCRCはなにが違うのか

(1)これまでの介護施設は、要介護状態(しかも高い介護レベル)になってからの入所が普通でした。しかし、日本版CCRC構想では、高齢者は、要介護状態になる前の健康な時点で入居します。その上で、健康寿命を伸ばすための施策が打たれます。

(2)これまでの介護施設における高齢者は、介護サービスを受ける「クライアント」でした。しかし、日本版CCRC構想では、地域での仕事に従事したり、様々な社会活動に参加したり、生涯学習を進めたりする「能動的な存在」であることが期待されます。

(3)これまでの介護施設は、基本的に要介護者だけが暮らしていて、地域社会とのかかわりは限定的でした。しかし、日本版CCRC構想では、そもそも要介護状態にはない健康な時点で移住しますから、地域社会に開かれていて、多世代の交流が期待されます。

CCRCなんて、うまく行くの?

課題はとても多いです。もう、あきらめたくなるくらい、多いです。

アメリカで成功したからといって日本でうまくいくとは思えない。だいたい、首都圏の高齢者が、本当に地方に移住したいと思い、それを実行するのか?入居先として、地方で目立つ「空き家」が検討されているが、そもそも荒れていることが多い「空き家」は住める状態なのか?地域との交流というが、価値観の違う人々同士がそんなに簡単に仲良くなれるのか?地方では車の運転が必須だが、首都圏で車のない暮らしをしてきた高齢者は適応できるのか?移住する高齢者にはアクティブな態度が求められるが、地方にそれだけの受け皿があるのか?

挙げたらきりがありません。しかし「失敗する」と評論家的に述べることは誰にでもできます。本当の課題は、高齢者の介護問題を自分の問題ととらえる当事者意識であり、それを解決しようとする活動に参加する人を増やすことではないでしょうか。

そもそもアメリカのCCRCにしても、はじめから成功していたわけではないはずです。誰かが、周囲の反対を押し切ってまで推進したからこそ、成功したのでしょう。この構想に賛成するか、反対するかは個人の自由です。ただ「高齢者の介護問題をなんとかしたい」という意志そのものまでをも否定するのは間違っていると思います。

お知らせ

KAIGO LABは、日本版CCRC構想を進めようとする自治体を応援します!東京圏サイドとのつながりが足りなかったり、戦略面で他の自治体との差別化などに悩んでいる自治体の方は、お気軽にご連絡ください。微力ですが、できるかぎりサポート致します。

※参考文献
・日本版CCRC構想有識者会議, 『日本版 CCRC 構想(素案)』, 首相官邸
・日経BPネット, 『東京圏の高齢者は地方へ移住する? 政府主導で進む日本版CCRC』, 2015年6月22日
 

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