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介護職のうつ病が増えている(ニュースを考える)

介護職のうつ病が増えている

厚生労働省による集計でわかったこと

厚生労働省による集計から、介護職のうつ病が深刻な状況になっていることが明らかになりました。辛い介護の末の殺人や虐待が増えていることからもわかるとおり、介護は、本当に辛いものです。

介護職という仕事は、その辛さを、一部ではあっても肩代わりするという側面があります。当然、うつ病が出てしまう危険性の高い仕事であり、ここには社会的なサポートが求められるのは当然のことです。しかし・・・

仕事のストレスが原因でうつ病などの精神疾患を発症したとして、労災を申請した介護職員が二〇一四年度までの五年間で二倍以上に増えたことが七日分かった。認定された人も三倍に増加し、業種別の順位もトップなどに上昇。慢性的な人手不足が続く介護業界の職場環境の悪化が浮き彫りになった。

(東京新聞, 2016年5月8日)

厳しい労働環境が伝わってくる調査結果だ。人手不足から夜勤が増え夜中にコールボタンが鳴りやまない、認知症に付随して起こる暴言に傷つけられたなどというのは、よく耳にする話である。最近は家族からの過剰な要求に振り回されるケースも多いと聞く。

(沖縄タイムス, 2016年5月10日)

根本的な原因は介護職の待遇の悪さにある

介護職のストレスに関する問題の原因としては、よく人手不足が指摘されます。しかし、過去に『介護職のなり手がいない真の原因は、ストレスではない。』という記事でも指摘したとおり、介護職の仕事が辛いものになっている真の原因(真因)は、介護職の待遇の悪さにあります。

介護職の待遇は、全産業平均よりも、年間で100万円以上も安いものです。月給にすると、手取りで20万円を切るようなケースも多い仕事です。これだけ待遇の悪い業界なのですが、2025年に向けて、追加で約80万人もの人材を必要としています。

あまり、こういうことは考えたくないものですが、日本人の「働く動機」の第1位(54%)は「給与」というのが現実です(PRESIDENT誌, 2010年5月3日号)。大多数の人にとっては、仕事の内容も大事ですが、まずは「給与」がしっかりとあっての話です。

介護職の待遇は悪いのですから、そこに人材が集まるはずもありません。それにも関わらず、今後はさらに介護が必要な高齢者が増えていきます。そうなると、人手不足になって、介護職1人あたりの負担が大きくなり、今回ニュースになっているように、うつ病などにつながってしまいます。

この問題の根本的な解決には、介護職の待遇を改善し、それによって介護職を希望する人材の数を確保し、介護職1人あたりの負担を減らすことが必要です。王道である解決策を避けて、小手先の改善をしても、この問題は解決しません。

全ての人に関わる重大な問題という認識が必要

この問題は、対岸の火事ではありません。介護は、自分が介護する側として、また介護される側として、誰もが関わることになる負担です。この負担を、一部であっても助けてくれる介護職が足りないということが何を意味しているのか、しっかりと考える必要があります。

2016年1月29日に行われた一億総活躍国民会議(第4回)において、安倍首相は、介護職の待遇改善に言及しています。政権が、介護職の待遇改善ができるかどうかは、大事な評価ポイントになっていくべきです。

国民が、そうした政権の能力を監視していかない限り、この問題が解決されることはありません。解決されない場合、私たちは、自分が介護をしたり、介護されたりするときに、これを、必ず後悔することになります。

※参考文献
・東京新聞, 『介護職うつ 5年で倍 労災申請、人手不足背景に』, 2016年5月8日
・沖縄タイムス, 『社説[介護職のうつ病]人手不足の悪循環断て』, 2016年5月10日

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