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サイコオンコロジー、ご存知でしたか?

サイコオンコロジー

日本で起きる自殺の半分は健康問題

内閣府の発表によると、2015年の日本の自殺者の総数は24,025人でした。自殺者の数は1999年に3万人を超えてしまいましたが、2013年に3万人を切ってからは、その数が少しずつ減り続けています。それでも一日に約70人が自殺をしているというのは、非常に残念な数字です。

自殺の原因・動機の詳細を見ると、経済・生活問題4,082人、家庭問題が3,641人、勤務問題2,159人、男女間題801人、学校問題384人、その他が1,342人と続きますが、圧倒的に多かったのは健康問題の12,145人でした。

自殺者総数が24,025人なので、日本で自殺する人の半分は、健康問題を理由にしていることがわかります。医療技術が目覚ましい進歩を遂げているにも関わらず、この結果になるのは意外ですし、大きな社会課題です。

サイコオンコロジー(Psycho-Oncology)とは?

サイコオンコロジーという言葉をご存知でしょうか。サイコオンコロジー(Psycho-Oncology)は「心」の研究をおこなう精神医学・心理学(サイコロジー)と「がん」の研究をする腫瘍学(オンコロジー)
を組み合わせた造語です。

日本語では「精神腫瘍学」と訳され、1980年代にアメリカで確立した新しい学問です。またサイコオンコロジーの臨床・実践活動に取り組む専門家をサイコオンコロジストといいます。

サイコオンコロジーの第一の目的は、がんが精神面に与える影響を明らかにし、患者とその家族のQOLを回復・維持・向上させることです。またもう一つの目的は、心ががんという病気に及ぼす影響を解き明かすことです。心の持ち方や行動によって、がんになりにくくなる、あるいはがんを抱えていても長生きできるのではないか、という研究が進められています。

よく笑う人はがんになりにくいとか、がんの進行が遅れるとか、あるいはがんが完全に消えてしまったという話を耳にすることも増えてきたでしょう。この背景にあるのが、サイコオンコロジーなのです。より詳しくは、以下、日本サイコオンコロジー学会のサイトを参照してください。

日本サイコオンコロジー学会

http://jpos-society.org/

自殺者の中でも多数を占めるがん患者

最初に示した健康問題を理由に自殺する人の中でも、がんを理由に自殺する人はかなり多いようです。もちろん日本人の死因の第一位を占め、年間で30万人以上ががんで亡くなりますから、そもそもがん患者が多いのも、この理由の一つです。

国立がん研究センターによれば、がんと診断されることに起因する心理的ストレスは、診断後1ヶ月~数か月以内で最も強いそうです。また、診断後1年以内はがんの発生やその治療に伴うライフスタイルの変化なども大きい時期と思われます。

さらには、がんおよびその治療による認知・身体的機能や社会的機能の低下が考えられます。これらの要因により、がん診断後1年以内の自殺および他の外因死のリスクが高くなると考えられています。

ということは、がんと診断された直後の1年間にどのようなケアが行われるかで、自殺の可能性は大きく変わるということです。しかし、財政上の問題から、昔であれば40日ぐらいかかっていた入院が、今は2週間ほどで退院していくケースが多くなっています。

医療関係者としても、本当は、心のケアまで行いたいのに、とりあえずがん細胞を切除して、すぐ退院させるという流れになってしまっているのです。ということは、サイコオンコロジーは、医療関係者よりもむしろ、家族が主体的にアレンジすべきものになっているとも言えます。

もし現在、要介護者が病気を抱えて悩んでいる場合、主治医やケアマネに、サイコオンコロジストを紹介してもらうことを検討してみてください。それだけで解決したりはしないでしょうが、なんらかの改善が得られる可能性もあると思います。

※参考文献
・内閣府, 『自殺統計,第2章,平成27年中における自殺の内訳』, 2016年3月
・厚生労働省, 『介護予防マニュアル(改訂版)』, 2012年3月

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