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介護生活を、動物とともにあることを、あらためて考える

動物とともに生きる

人間と動物の関係史

人類は、およそ一万年前から、動物の飼育を生活に取り入れてきました。その長さを鑑みても、人と動物の両者の関係が非常に深いものであることは想像に難くありません。

その歴史の中で、動物たちは、獲物・家畜・害獣・伴侶・信仰の対象と、様々な役割を果たしてきました。中でも、ペット(愛玩動物)の存在は、人間に大きな影響を与えてきました。その存在は、古くはエジプト時代の壁画などから確認できています。

実は、漢字の構造からも、一部ではありますが、人間と動物の関わりを探ることができて面白いです。

「うかんむり(宀)」は「屋根」を表しています。そうすると「家」の中には「豚」がいたことがわかります。「豚」は、古代の中国では、人間と生活空間を共有していたのです。しかし「屋根(宀)」の下に「牛」がいると「牢(ろう)」になります。「牛」は暴れるので「家」の中には入れられなかったのでしょう。

「猫」は「けものへん(犭)」に「苗(なえ)」と書きますね。ここから「猫」は、大切な食料である稲の「苗」をネズミから守ってくれる存在として、信仰の対象にすらなっていたことが推測できます。

介護ロボットは本当に現場に浸透するのか?

経済産業省によると、今後のロボットは、これまでのような製造分野における活用ではなく、サービス分野での活用が中心になるそうです。10年後のロボット市場は、現在の約1.6兆円から約5.3兆円に成長し、介護・福祉などのサービスロボット市場は、現在の3,733億円から2兆6462億円にまで急成長すると考えられています。

しかし、作る側と使う側のギャップは想像以上に大きく、介護ロボットが介護現場に普及していく道のりは険しいようです。もちろん基本的には人がやり、その補助としてロボットが活用されることはどんどん増えてくると考えられます。しかし、さまざまな業界で機械化が急速に進む中、介護業界は、むしろ他の業界よりもロボットの活用が遅くなる可能性もあります。

そもそも、介護業界における倒産や廃業も増えてきています。こうした環境にあって、介護事業者に、介護ロボットを導入するだけの資金があるかというと、おおいに疑問です。かといって、介護業界の人材不足を補うほどに高性能な介護ロボットの実現には、まだかなりの時間が必要でしょう。

ロボットよりも犬のほうが活躍できるかもしれない

補助犬というのは、盲導犬、介助犬、聴導犬の3種類の総称です。それぞれ目、身体、耳の不自由な方をサポートするために訓練されています。例えば、介助犬は、落としたものを拾ったり、ドアを開閉したり、指示されたものを持って来たり、不測の事態が起きた時に人を呼んだり、緊急ボタンを押すことまで出来ます。

補助犬は、公益財団法人・日本補助犬協会から無償で貸与されます(ドッグフードやワクチン等の医療費はユーザーの負担。貸与されるのは18歳以上の身体障害者手帳を持つ人で、補助犬とともに、4週間の合同訓練を実施できる人に限られます。そして最も大切なポイントは、補助犬に「愛情を持って」接することができる人という条件です。

要介護者によっては、無機質なロボットとの生活よりも、介助犬との生活を好む人もいるでしょう。そもそも、動物が人の心の治療に役立つのではないかということは、18世紀過ぎから研究されてきました。

現在ではアニマルセラピーという言葉もよく耳にするようになりましたし、動物介在療法(AAT)や動物介在活動(AAA)も注目されています。補助犬が関わることにより、要介護者の精神的なストレスが少しでも軽減され、癒しが与えられれば、ロボット以上の効果が期待されるのです。

しかし残念ながら、日本では補助犬の実稼働数が非常に少ないのが現状です。2016年4月1日現在で、盲導犬は984頭、介助犬は73頭、聴導犬は64頭しか稼働していません。盲導犬で言えば、実は、8,000人の方が利用を希望しているそうなので、供給が追いついていないのでしょう。

これに対して、アメリカでは盲導犬の稼働数が約10,000頭にもなるといわれています。ヨーロッパでも多くの補助犬が活躍しており、人口比でみれば、日本の補助犬は、まだまだ圧倒的に少ないと言えるでしょう。

この原因は、補助犬の訓練のハードルの高さにあります。まず日本補助犬協会に登録されている訓練施設は17か所しかありません。また補助犬を一頭育てるのに、およそ300万円かかるといわれています。そして何よりも問題なのは、補助犬の訓練士の報酬の悪さです。訓練士の報酬は、月収にして約15万円程度にしかならないのです。

人間の気持ちを察知して、要介護者に話かけることができる介護ロボットも生まれてきています。しかし、私たちは今一度、補助犬のような動物の可能性にも目を向けてみる必要もあるのではないでしょうか。

※参考文献
・門多真弥, et al., 『アニマルセラピーとしての“イルカ療法” ─イルカとのふれあいを通じて─』 , 発達教育学研究 : 京都女子大学大学院発達教育学研究科博士後期課程研究紀要 (8), 55-60, 2014

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