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中学生が「介護」を学ぶべき理由

中学生が「介護」を学ぶべき理由

増え続ける社会福祉専門職の需要

介護に関わる職業に従事する人(介護職)は、増え続けています。世界で最も早く高齢化社会に突入する日本は、介護業界に、優秀な人材を多数確保していくことが急務だからです。

以下、5年前のデータになってしまうのですが、国勢調査(2005〜2010年)から、この期間の日本で増えた職種のトップ5を見てみます(最新の詳細データは、来年の4月に公開される予定です)。

順位(増加率)
職種
具体的な職業
1位(26.2%)
社会福祉専門職業従事者 保育士、ケアマネ、ケースワーカー等
2位(25.3%)
生産関連事務従事者 生産現場の事務、資材・製品などの出荷・受荷事務
3位(17.9%)
保健医療サービス職業従事者 看護助手、はり・灸助手、歯科助手、動物看護師・助手等
4位(16.9%)
介護サービス職業従事者 施設の介護職員、ホームヘルパー
5位(14.6%)
事務用機器操作員 パソコン操作員、キーパンチャーなど

出典:社会実情データ図録(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3500.html)

介護に関連する職種が、1位、3位と4位になっています。介護職は、これだけ増えてはいるものの、まだまだ足りていません。現在約180万人と言われる介護職は、2025年までに追加で約80万人が必要になるという試算もあります。

今後、介護職を増やしていくためには、介護職の待遇改善が必要であることは以前から何度も記事にしてきた通りです。しかし、国の財政が思わしくない現状において、介護職の待遇が急激に改善されることは期待できません。

とはいえ、今や介護が必要となる高齢者(要介護者)の数は600万人を超えています。これが、2025年に向けて激増していくことは、ほとんど確定しています。待遇が改善されるにせよ、されないにせよ、この増え続ける要介護者を支える未来の介護職とは、現在の子供たちです。

13歳のハローワーク『人気職業ランキング』

では、現在の子供たちは、将来、どのような職業に就きたいと考えているのでしょうか。以下『13歳のハローワーク公式サイト』において、1カ月間(2016年3月1日~3月31日)のアクセス数に基づいて出された『人気職業ランキング』の結果を転載してみます。

なお、このサイトは、主に中学生がアクセスし、月間800万ページビューを超えている人気サイトです。ここでは、514の職業の中から興味を持たれた(検索された)職業トップ100位までが、定期的に更新されています。

順位
職業
順位
職業
1位
プロスポーツ選手
51位
シェフ
2位
金融業界で働く
52位
動物園の飼育係
3位
ファッションデザイナー
53位
ゲームグラフィックデザイナー
4位
ゲームクリエイター
54位
フラワーデザイナー
5位
パティシエ
55位
スタイリスト
6位
保育士
56位
宇宙開発技術者
7位
臨床心理士
57位
スポーツ用品メーカーで働く
8位
医師
58位
助産師
9位
編集者
59位
精神科医
10位
公務員(一般行政職)
60位
芸能マネージャー
11位
看護師
61位
トリマー
12位
イラストレーター
62位
国連職員
13位
建築家
63位
弁護士
14位
大工
64位
雑貨デザイナー
15位
ツアーコンダクター
65位
CGクリエイター
16位
グランドホステス
66位
陸上自衛隊
17位
薬剤師
67位
スポーツのチームや組織で働く
18位
美容師
68位
ショコラティエ
19位
警察官
69位
キャラクターデザイナー
20位
漫画家
70位
日本料理人
21位
小学校教師
71位
犬の訓練士
22位
パン職人
72位
ジュエリーデザイナー
23位
インテリアコーディネーター
73位
画家
24位
プラモデル製造
74位
理学療法士
25位
インテリアデザイナー
75位
絵本作家
26位
広告業界で働く
76位
水族館の飼育係
27位
作家
77位
ディスパッチャー
28位
NASAで働く
78位
税理士
29位
歌手
79位
アナウンサー
30位
ホテルで働く
80位
メイクアップアーディスト
31位
声優
81位
エンジニア
32位
外交官
82位
宇宙飛行士
33位
アニメーター
83位
電車運転士
34位
アパレルメーカーで働く
84位
プラネタリウムで働く
35位
司書
85位
航空自衛隊
36位
医療秘書
86位
中学校教師
37位
獣医師
87位
映画宣伝
38位
テレビ業界で働く
88位
エディトリアルデザーナー
39位
ブライダルコーディネーター
89位
監督・コーチ
40位
幼稚園教諭
90位
ネイルアーティスト
41位
映画監督
91位
化学系研究・技術者
42位
PA(音響)
92位
栄養士
43位
中学校・高校教師
93位
和菓子職人
44位
通訳
94位
客室乗務員
45位
ゲームプログラマー
95位
ロボット設計技術者
46位
インダストリアルデザイナー
96位
ネイチャーガイド
47位
ナニー
97位
装丁家(ブックデザイナー)
48位
グラフィックデザイナー
98位
スポーツトレーナー
49位
天文台で働く
99位
ペットショップスタッフ
50位
ゲームプランナー
100位
パイロット

出典:13歳のハローワーク公式サイト(http://www.13hw.com/jobapps/ranking.html)

このサイトでは、介護・福祉に関連する37の職業も紹介されていますが、残念ながらこれらは全てランク外でした。別の職種分類ではありますが、ギリギリ、74位に理学療法士が入っていることは救いかもしれません(11位の看護師、92位の栄養士もあり得ますね)。

介護福祉士に求められる要素は「生きる力」につながる

高校卒業後に介護福祉士を養成する学校では、2年以上にわたり、1,800時間をかけて、介護に必要な知識・技能を学びます。カリキュラムは、介護が実践の技術であるという性格を踏まえ、その基盤となる教養や倫理的態度を養うという、とても豊かなものです。

厚生労働省が示している、介護福祉士の資格取得時の到達目標が、介護を目指す人材だけでなく、すべての人に共通して必要なものであるということは以前も記事にしました。ここでまとめられている11項目の到達目標は以下のようなものです。

1. 他者に共感でき相手の立場に立って考えられる姿勢を身につける。
2. あらゆる介護場面に共通する基礎的な介護の知識・技術を習得する。
3. 介護実践の根拠を理解する。
4. 介護を必要とする人の潜在能力を引き出し、活用・発揮させることの意義について理解する。
5. 利用者本位のサービスを提供するために、多職種協働によるチームアプローチの必要性を理解できる。
6. 介護に関する社会保障の制度、施策について基本的理解ができる。
7. 他の職種の役割を理解し、チームに参画する能力を養う。
8. 利用者ができるだけなじみのある環境で日常的な生活が送れるよう、利用者ひとりひとりの生活している状況を把握し、自立支援に資するサービスを総合的、計画的に提供できる能力を身につける。
9. 円滑なコミュニケーションの取り方の基本を身につける。
10. 的確な記録・記述の方法を身につける。
11. 人権擁護の視点、職業倫理を身につける。

この到達目標は、文部科学省が、現在の子供たちの教育における柱(学習指導要領)としている「生きる力」にもつながります。「生きる力」の教育では、知識や技能の習得とともに、思考力・判断力・表現力などの育成を重視しているからです。

特に、現在の「総合的な学習の時間」の目標とされている「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力」の育成は、介護福祉士の到達目標とも共通しているように思います。

この視点からすれば、現在は福祉系の高校だけで実施されている「介護・福祉」といった教科の一部だけでも、一般の学校でも必修単位に加えることが重要だと考えます。これが実現すれば、今の子供たちも、もう少し介護の世界に興味を持ってくれるかもしれません。

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

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