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死を意識すると、さまざまな能力が向上する?たとえばそれは、真夏のセミのように

死を意識すると、さまざまな能力が向上する?たとえばそれは、真夏のセミのように

気持ちに余裕がない場合は、この記事は読まないでください。「看取り」に関する内容になります。

死を意識した人はリーダーになりやすい?

優れたリーダーには、死を意識せざるをえないような経験があるという俗説があります。死に直面することで、たった一度しかない自らの人生の価値を再認識し、よりよく生きようとするからかもしれません。結果として自分らしさに目覚め、優れたリーダーシップを発揮するようにもなるのでしょう。

実は、リーダーシップには、様々な定義があり、学者の間でも一致した見解は少ないのです。私見では、リーダーとは、自らの価値観どおりに行動する人のことです。そして自らの死を意識することは、誰かのコピーのような人生を歩むことの「ばかばかしさ」を自覚することだとすれば・・・それがリーダーシップにつながるのも当然です。

そんなことを考えていたところ、死を意識することが、パフォーマンスの向上を生み出すという研究結果についての記事をみつけました。あくまでもスポーツの世界における研究結果ですが、以下、WIREDの記事(2016年11月8日)より、一部引用します。

バスケットボールの試合前に、「いずれは誰もが死を迎えること」をほのめかされた選手は、そうでない選手よりもシュートの成功率が高く、より多くの得点を稼いだ──これはスポーツ心理学の学術誌『Journal of Sport and Exercise Psychology』に掲載された研究結果である。(中略)

「死をほのめかされると、その恐怖に対処する必要性が生じます。その結果、作業により熱心に取り組むことが多くの研究からわかっています」。研究論文の共同執筆者で、アリゾナ大学で心理学を研究するジェフ・グリーンバーグはニュースリリースでそう述べている。(中略)

研究者たちは、スポーツのコーチのなかにはこのような方法で選手のやる気を喚起している者がすでにいるかもしれないと語り、さらなる研究によって、人々が抱く「死に対する恐怖」を活用する新たな方法が開拓されるかもしれないと示唆している。そして、そうした手法はスポーツに限らず、仕事などにも応用できる可能性があるとも述べている。

「死ぬ気で頑張れ」という励ましについて

他の動物でも、外敵に襲われているときは、最大の速度で逃げるでしょう。そういえば人間の世界にも、火事場の馬鹿力という言葉があります。命の危険性が高まるとき、生物は、持っている能力を極限まで引き出せるようになっているのかもしれません。

思い出してみれば、他者からの励ましとして「死ぬ気で頑張れ」という声がけをもらった経験は、誰にでもあることです。また「死ぬ気になればなんでもできる」といった発言をしたことのある人もいるでしょう。これらは、たんなるたとえ話ではなくて事実だと認識したとき、世界が少しだけ違って見えてきます。

死が近づいてきている高齢者もまた、本来備わっている優れた能力を最大限に発揮する可能性があります。よそ見をすることなく自分の人生を振り返り、残された期間でやれることに真剣に取り組む状態が得られることが、高齢者の幸福にとって大切なことのように思われるのです。

高齢者にこそキャリア相談が必要なのではないか

キャリア相談というと、将来に思い悩む若者に対する支援というイメージがあります。しかし、自らの死を意識して「なにかを残したい」と焦る高齢者にも、キャリア相談が必要なのではないでしょうか。そうした焦りにフタをしてしまうのではなく、それと向き合いながら自分だけの花火を打ち上げることへの支援が必要だと思います。

土の中で幼虫として何年もすごしたあと、地上に出て成虫になるセミは、小さな体には似つかわしくない勇ましさで鳴きます。残された数日のうちに交尾をしなければならないという運命が、鳥のような外敵に察知されるリスクを負ってでも、あれだけの大音量を出させるのです。

人間もまた、高齢者になるまでは、幼虫のようなものなのかもしれません。そうだとすれば、残された人生を消化試合のように感じてしまうのは、本当にもったいないことです。鳴いているセミをみて、それを消化試合だと感じる人はいないのですから。

※参考文献
・WIRED, 『人は「死」を意識すると、本当にパフォーマンスが向上する:研究結果』, 2016年11月8日

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