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「孤独死」は男性に多い(女性の約○倍)ことの裏にある問題点

「孤独死」は男性に多い(女性の約○倍)
気持ちに余裕がない場合は、この記事は読まないでください。「看取り」に関する内容になります。

「孤独死」の定義はない?

「孤独死」とは、一般には「誰もそばにいてくれない状況で死亡し、死後しばらくの間、その場で放置されてしまうような死」のことを意味するでしょう。しかし実際には、法的にはもちろん、専門家の間で共有されている定義も無いようです。警視庁の統計でも「変死」(刑事訴訟法第229条)として分類されるにとどまります。

警視庁の統計において、独居の高齢者の「変死」は、2003〜2015年までの間に約1.6倍になっています。これだけでも心配になります。しかしそれ以上に注目したいのは、こうした「変死」は、男性が女性の約2倍多いというところです。

そもそも、男性の高齢者は、定年退職以降、あらたな社会的なつながりを形成できないケースがあることは、広く知られています。そうした背景を受けて『配偶者のいない高齢の男性が「自分らしさ」を見つけていくプロセスについて』という記事では、具体的な対策について述べています。

「孤独死」の課題について

「孤独死」があると、その不動産の所有者はもちろん、ご近所や親類縁者に迷惑がかかってしまいます。また、そもそも、体調を壊したことを発見してもらえたら、死なずに済む可能性もあることから、本人にとっても良いことではありません。

ただ、大切な視点になるのは、本質的な問題は「孤独死」ではなく、生きているときの「孤独」だということです。どのみち、自分が死ぬ瞬間に一人であったとしても、それは一瞬のことです。本質的には、そうした一瞬の死(death)そのものではなく、死に至るプロセス(dying)のほうが大事ではないでしょうか。

多くの人々に対して感謝をしながら、自らの人生を肯定していく死なら、最後の瞬間が一人であろうとなかろうと、あまり問題にはならないと思うのです。「孤独死」においても、本当の問題は、死後から半年といった期間、誰にも心配されないという、生きているときの「孤独」な状態のほうだと思います。

誰にも頼らない人生が幸福というわけではない

この世界を肯定するためには、自分以外の他者の存在に感謝することが不可欠です。そのためには、まずは1人でも、その存在自体に感謝をしたくなる他者が必要でしょう。そうした人が多数いる人を羨ましく感じることもあるかもしれませんが、人数は重要ではありません。問題は、そうした1人がいるか、いないかです。

介護業界で働く人であれば理解していることとして、自立とは、誰にも頼らないことではありません。自分に残された能力を活かし、自ら選択をして、自分のありかたを決めていくことこそ、自立です。

むしろ、誰にも頼らないということは、感謝する他者がいないということを示しているかもしれません。それは、強いことかもしれません。同時にそれは、決して幸福な人生とは言えないようにも思えてきます。

もちろん、考え方は人それぞれですし、これが正解という人生はありません。他者に頼りすぎて「くれない族」になってしまうのも問題です。しかし「孤独」は、肥満や喫煙よりもずっと健康に悪いという指摘もあります。なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとし、ということなのでしょう。

※参考文献
・東洋経済オンライン, 『激増の高齢者孤独死は「7割が男」という現実』, 2017年6月28日
・山田 恵子, et al., 『介護を必要とする高齢男性のデイケアへの適応過程 -配偶者のいない高齢男性が『自分らしさ』を見つけていくプロセス-』, 聖徳大学研究紀要 26, 77-83, 2015

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