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最期の迎え方について(終活の失敗事例より)

最期の迎え方について(終活の失敗事例より)
気持ちに余裕がない場合は、この記事は読まないでください。「看取り」に関する内容になります。

最期を自宅で迎えたい人は過半数なのに・・・

日本人は「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか」という質問に対して「自宅」と答える人が過半数です。しかし、実際には約8割の人が病院で亡くなります。終活という意味では、まだまだ、本人の希望が満たされていないというのが現状です。

この現状を問題として、少しずつではあるものの、住み慣れた自宅を終の住処にという方向で、様々な医療・介護制度やサービスが整えられつつあります。同時に、現場では、こうした終活がうまくいかないことによる問題も発生してきています。

意外かもしれませんが、終活がうまくいかないと、警察の介入が起こってしまうことも少なくありません。遺族としては、大切な人を亡くして傷心のところに、警察がやってくるのはやりきれません。しかし警察としては、そこに事件性がないことを確認する必要があるため、仕方がないのです。

事件性の確認のために警察の介入があった2つのケース

以下、ベテランの介護職に聞いた、実際にあったケースを2つ紹介します。プライバシー保護のため、本人が特定できないように、内容には真実とは異なることが入っています。その点について、ご了承ください。

Aさん(80代男性、要介護5)のケース

Aさんは、前立腺癌を患い、若い頃はヘビースモーカーだったせいか、在宅酸素や痰の吸引など、医療依存度が高い人でした。80代で要支援1の妻と二人暮し、ヘルパーとデイサービス利用時以外は妻が介護に当たっていました。

そろそろ先も見えてきたということで、Aさんも妻も、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと願っていました。そこで彼らは、主治医、在宅訪問医や介護事業者、ケアマネジャー、遠方に住む息子、娘とも、その意思をしっかりと共有していました。

妻は主治医から、最期に向けての心身の状態変化のプロセスや、いざという時の連絡方法などについて聞いていました。ここについては、実際に何度か練習までして、準備万端といった様相だったのです。

しかしある日、Aさんの呼吸が普段とは違う状態になりました。妻は、練習の通りに主治医に連絡を取りました。しかし、その時に限って、電話がすぐには通じませんでした。最初の電話から5分後には、主治医からの折り返しの電話がありました。しかし、気が動転していた妻は、救急車を要請し、その対応をしていたため、この電話に気づきませんでした。

そして主治医ではなく、以前通院していた病院名を救急隊に伝え、Aさんはそこに搬送されました。そしてAさんの最期は、本人たちが望んでいなかった病院ということになってしまったのです。その後、警察から連絡があり、妻は何度も警察とのやりとりに対応させられることになったのです。

Bさん(80代女性、要介護4)のケース

Bさんはグループホームに入居していた人でした。癌が全身に転移し、余命いくばくもないということをから主治医から言われていました。認知症もあったBさんは、最期に対しての意思表示が困難な状態でした。Bさんには二人の娘がいましたが、この二人の最期についての見解が真っ二つに割れていたのです。

長女は「ずっとお世話になっているグループホームでお看取りしてほしい」とのことでした。しかし次女は「ちゃんとした痛みの緩和をしてくれるホスピスで苦しまずに逝かせてあげたい」ということでした。

両者の言い分はそれぞれ一理あり、グループホームの職員も医療職も、娘たちとカンファレンスの場を何度も持ちました。しかし、娘たちは、お互いに合意することはなかったのです。

ある日の夜間、Bさんの容態が急変しました。主治医の来所には1時間以上かかるとのことでした。娘らにも電話をしたのですが通じず、やむなく、グループホームの夜勤職員は救急車を要請し、結果Bさんは病院で亡くなりました。

背景があってのことですが、緊急事態にもかかわらず、すぐに救急車が呼べなかったことから警察が介入しました。結果として、傷心していた家族やその関係者が、何度も警察とのやりとりをすることになりました。

自宅での看取りには、それなりの準備が必要

AさんもBさんも、背景には様々な事情もあったのですが、本人たちが望まない形での最後となったのは、残念なことでした。また、大切な人を失ってしまったその時に、葬儀の準備だけでなく、警察とのやりとりまでもが必要になってしまうのは、とても辛いことです。

しかし警察としては、医師による明確な死亡診断がなければ、その段階ではこれを「変死」としなければなりません。「変死」であれば、これは検視(検察官による取り調べ)の対象となります。場合によっては、遺体が警察署に安置されることになったりもして、自宅や遺族のもとに帰るまでに、かなりの時間がかかる場合があります。

また、独居のケースなどで、最後の時から、発見者による発見までにかなりの時間差があったりすると、本当に大変なことにもなります。警察から関係者への事情聴取も1度では終わらず、何度も対応することが求められたりもします。

警察の介入も嫌なのですが、先のケースのようなことになると、なによりも、本人や家族が思い描いていた「あたたかいお別れ」ということからかけ離れてしまいます。遺族も後悔することになります。

AさんもBさんも、それぞれに特定のケースであって一般論ではないことには注意が必要です。それでも、住み慣れた自宅で最期を迎えるためには、周囲の専門職の人々とのしっかりとした連携と、いざという時の対応を間違えないことが大切になることは、認識しておく必要があるでしょう。

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