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【書評16】『大切な人を看取る作法』大津秀一著, 大和書房

大切な人を看取る作法
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これは、医師の書いた具体的な看取りの本です。大切な家族や自分自身の死について考えたくない、知りたくないという人もいるかもしれません。そういう人に、無理におすすめするものではありません。

ここまでで本文を読むのを止めようとしている人にも、ひとつだけ。

「意識不明で全く反応がない状態でも、耳は聞こえ、聞こえた内容も理解している可能性が高い。死に行く人のそばで、無神経な話をしてはいけない」(p67~73の主旨)ということは、知っていてほしいと思います。

著者は現在緩和ケアに携わっている医師です(東邦大学医療センター大森病院緩和ケアセンター長)。専門はがん治療、老年病、消化器、内科です。最年少のホスピス医(着任当時)として勤務して以来、在宅医療診療所を経て現在に至っています。

1,000人の終末期のがん患者と高齢者、その家族を見守った経験から、大切な人を看取る際にどうしたら良いかを一般の人に伝えたい、また、高齢者施設で働く人たちにも読んでほしいとの思いで書かれたのが本書です。

医療関係者でなければ、看取りの経験はそう何度もあることではありません。乱暴な言い方ですが「ぶっつけ本番」ということになります。大切な家族の最期を目の前にして、動揺したり、取り乱したりするのは当然とも言えます。

本書は、終末期や死に対する様々な誤解を解き、看取る側が落ち着いて寄り添えること、看取られる人が穏やかな気持ちで最期を迎えられることを願って書かれたものです。

看取りの心構えから死に向かう人の体の変化、外見と本人が感じている(と医学的に推察できる)苦痛の有無や苦しい症状への対処法を、事例を挙げながら具体的に述べています。

知識として重要なことも書かれています。

例えば、死亡診断書について「医師法20条と21条の誤解(p166~170)で「24時間以内に診ていないと死亡診断書を書けない」という誤解が医療関係者の中にもあるので、知っておくべきこととして詳しい説明とともに注意をうながしています。

大見出し、小見出しがあり、大事な点は太字になっています。項目ごとにポイントがまとめられていてハウツーものの形をとっていますので、パラパラめくって目に留まったところから読み始めても良いでしょう。

この本をきっかけに、看取る人と看取られる人の「今」が豊かになることを願っています。
 

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